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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜転生花〜-2

『…ご主人たまが手を出しちゃうのもわかるな〜』
ニコリとした笑みを浮かべる、だがその笑顔は少女では無く一人の妖麗な女のそれであった。
『ねぇ、キスしても良い…?』
『え、や…』
声が上手く出ない。クスクスと微笑むゼロの顔が近付く・・・が。
『ゼ〜〜〜ロ〜〜〜〜』
ビクン!!
唇が触れる寸前に、ゼロの後ろから怒気がありありと感じられる声がした。そしてその声にゼロの体が明らかに反応したのだ。
声の主はスーだった。
『スーちゃん…』
アチャーと言った感じに苦笑するゼロに、カツカツと靴音を立てて近寄り、私からゼロを引きはがす。
『アンタ、何してんのよ?』
胸ぐらを掴み引き寄せて、鋭く一直線にゼロを見据える視線。と言うか刺線。
『えとねぇ…そのねぇ…』モグモグと定まらない言葉を発するゼロ。 目が泳いでいる。
『な・に・し・て・ん・の!』
さらに強まる視線に、ゼロはダラダラと汗をかいている。
『…ちょっとつまみ食い…』
『あぁ!?』
『! ふぇ…ごめんなさ〜い〜』
一際大きな怒声に、ついにゼロは泣き出してしまう。
『はぁ… 大丈夫? まだ何もされてない?』
泣き出したゼロを放って、スーが話しかけてきた。
だが、私はスーの剣幕に圧されてまだ床にへたれこんでいたままであった。
『あ、はい、大丈夫です…』
『ごめんなさいね、この子悪戯するの好きだから。』ゼロはスーの後ろに回ってしがみついていた。
『ちょ、ちょっとふざけただけだもん… 本気でするきはなかったもん…』
その一言で再び鋭い視線がゼロを貫く。
『当たり前! 本気でやったら報告ものよ!』
報告とは紅様にだろうか?
多分報告すれば少なからずともゼロに不利なことになる。確実に言えるのは、飴玉あげて良い子良い子はないだろうということ。
私だってゼロにそんな目にあって欲しいわけではなかった
『うん、ありがと… スーちゃん好き…』
まだちょっと泣きながらゼロは廊下を走り去っていった。
『・・・ゼロさん、いくつなんですか?』
見た目は12歳そこそこ。なのだが…
『今年で19だったかしらねぇ…』
なんと・・・自分より年上だった。

『シャナさん、あなたの仕事場は白竜館だから。』
『え? 仕事場?』
急なことで、つい聞き返してしまう。
『そぉよ、仕事場。
まさかあなた、何もしないでただここに居るつもりだったの?
メイドの仕事をするの。 今日からだからね。 支度が出来たら白竜館に行って。』
スーさんはテキパキと言うことだけ言うとゼロさんが去っていった方へ行ってしまった。
一瞬だが、スーが何か焦っているような表情をしていたのが見えた…

『・・・』
独り廊下に取り残された私だったが、しばらくして自室に戻り、白竜館へ向かう準備をした。
自室での準備は手早く終わった。…と言いますか、元から用意する物なんて言われてなかったので持ち物も無い。
だから準備とは服を着替えるだけだった。クローゼットにはメイド服も入っていた。
『…あっ!』
着替えも完了して、部屋を出ようとした時、あることに気付いて口に手を当てて立ち止まってしまう。
『…白竜館ってどこかしら…?』
全くの手抜かり、白竜館の場所を聞き忘れたのだ。
…紅様は火竜館と水竜館と黒竜館は教えてくれたけど…最後の白竜館の場所は?
黒竜館の所で話がそれてしまったのだ。
『…たぶん歩き回れば見付かるかも。』
敷地無いに有ることは間違い無いだろうと予測して、歩いて探してみることにした。


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