Cross Destiny
〜神竜の牙〜A-39
「そしてジェラルドは皆が思っているほど強大な国では無い。
ジェラルドの兵力30万
ヒーティアの兵力は15万
ホーリーの兵力は10万。
ヒーティアとホーリーが手を結べばこの国は一気に危うくなるんだ。」
「そう・・・だったのか」
「そして今戦に負ける訳にはいかねえ。
情報ではホーリーはヒーティアと手を結び、勝負がつく前に神竜を復活させるつもりらしい。
アレスターの目的はジェラルド滅亡だけでなく神竜を復活させ、その圧倒的な力を見せつけて他国から反逆の意志を削り取るつもりだ。
もし神竜復活が叶わなければ最終手段として強力な魔物を大量に作り出してジェラルドを潰す気なんだ。
だからその前にホーリーを、アレスターの計画を食い止めなくちゃならねえ。」
「その情報は確かなのか?一体どこからその情報を?」
フォルツは一番不思議に思っていたことを尋ねた。
「直接ホーリーからだ。」
「え?」
「ここにいるヴェザードは元黄泉羽だ。」
ヴェザードは腕に巻いてある布を取った。
するとそこには翼のタトゥーが入っていた。
「ヴェザードには数年前まで黄泉羽としてホーリーに潜入してもらってた。
そこで情報を流させたんだ。」
「待てよ、てことは黄泉羽はやっぱりホーリー所属だったのか!?」
黄泉羽を一時的に雇っていると言ったアレスターの言葉はどうやら虚偽だったらしい。
「そうだ。奴は黄泉羽を使って戦況操作や情報操作、神竜復活の為の収集、自らの国の護衛など数々の用途で黄泉羽を使っていた。」
「ちっ、アレスターの奴嘘つきやがったな!」
「ホーリーと争うことになれば間違いなく黄泉羽とも戦うことになる。そうなれば恐ろしい程の犠牲が出るだろう。」
デェルフェムートの声は黄泉羽の恐ろしさを物語っていた。
レーヴェスと戦ったアルスはそれをわかっていた。
「そして今、我が国に必要なのは黄泉羽に対抗できる戦力だ。
今のところその力を持っているのはヴェイルとヴェザードぐらいだろう。神竜復活阻止、または魔物の大量投入阻止をするには必ず黄泉羽が壁になる。
そこでお前達に、ジェラルドに協力して欲しいんだ。」
突然のデェルフェムートの申し出にアルスとフォルツは顔を見合わせた。
「だから俺はあの時お前達に傭兵をやろうと持ち掛けたんだ。お前達なら実力は充分だ。
それに一緒に戦いたい、そう思ったんだ。
だから俺と一緒にジェラルド専属の傭兵になってほしい。」
手を差し出すヴェイル。
「頼む」
デェルフェムートも頭を下げた。
「わかった。」
アルスがヴェイルの手の上に手を置いた。
「あんたらの話を完全に信じた訳じゃないが、自分の目で真実を見極めるまで協力してやる。」
「なら俺もだ。」
フォルツも手を置いた。
「あの・・・私も行く所が無いので及ばずながら手伝わせて下さい。」
ルナもそっと手を置いた。
「よっしゃあ!!」
ヴェイルは腕を振り上げた。