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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-18

そしてその日の午後、アルスは朝のことをフォルツとヴェイルに話した。
「へえ、あのルナが積極的にねえ」
ルナが自分からレイを元気付けようとしていたことを聞いてフォルツが驚く。
「多分ルナはレイを他人とは思えなかったのかもな。」
「どういうことだ?」
ヴェイルが尋ねた。
「ルナは誰かを失う悲しみは知らないかもしれないが、独りぼっちの苦しみは充分解ってやれたってことだ。」
「なるほどな」
「それにしても運送係を殺して星石を奪ったやつらは許せねえ」
フォルツが拳を固めた。そしてそれを見た二人も頷く。
翌日からアルス達は星石発掘の手伝いをすることにした。
ルナは棟梁からレイと遊んでやってくれと言われ、レイの面倒を見ている。
また、アルスの言葉やルナのおかげか、少しずつレイに明るさが戻ってきた。
しかしその表情に笑顔が戻ることは無かった。

そして作戦決行の前々日、
ルナはレイを連れて、初めてアルス達の作業場へと向かった。
「お、ルナとレイちゃん!」
二人に気付いたフォルツが手を止めてルナとレイの元に向かう。
「コラー フォルツ、てめえ何どさくさに紛れてサボってんだよ?」
ヴェイルの怒声が響く。
「そんな事言ったって俺魔導士よ。肉体労働はキツすぎるよお」
そう嘆くフォルツをアルスとヴェイルが引きずっていく。
「こいつこの四日間そんなことばっかいってはサボってんだぜ」
「レイ、奥さんに言っとけ。今日フォルツは飯いらないって言ってた、ってな」
「そんなあ」

"クスッ"
「え?」
四人は笑い声を聞いたような気がした。
「今笑った?」
ルナはレイに問い掛けた。
「・・・・・あ」
自分でも驚いた様子のレイラ。
「やったあ、俺がサボってたおかげじゃん!な?な?ほらみろ俺のサボりは無駄じゃなかった!」

「あ、サボってたの認めやがった!」
「やっぱこいつ飯抜きだな」
「あーー!嘘嘘嘘!!サボってないサボってないー」
「クスクスクスクス」
「ふふふふ」
ルナと一緒に笑うレイ。
そして遂にレイの顔に笑顔が戻った。
(よかったな)
フォルツは内心誰よりもほっとしていた。

作戦決行当日。

アルス達四人とシーラ兵二人が星石を積み込んだ馬車に、シーラ兵一人が馬に乗り込む。
棟梁やその奥さん、作業員、残りのシーラ兵、町中の人達がアルス達を見送る。その中にはレイの姿もあった。
「頼んだぞ。気をつけろよ。」
力強く見送る棟梁。
「お姉ちゃん達・・・・怪我しないでね」
心配そうに見送るレイ。
それらを後にし、アルス達を乗せた馬車はアルフェンを出発した。


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