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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-16

「なんだなんだ?物騒だな!」
「いや悪かったな。賊が攻め込んできたのかと思った。」
棟梁が頭を掻きながら謝った。
「賊とは?」
アルスは問う。
「実は・・・」
そして棟梁が答え始めた。
「俺たちゃ見てのとおりこの星石の発掘で生計を立ててるんだ。
だから発掘した星石は輸出しなきゃならねえ。」
「ああ」
「そして港まで輸送するため一ヶ月前に馬車を走らせたんだが、輸送係のやつらは一週間経っても帰ってこなかった。
港まで往復3日くらいだってのに」
「・・・」
四人は黙って聞き入る。
「不審に思って俺達で探しに行ったんだが、途中の道で運送係3人の死体が見つかった。」
「魔物の仕業とかはないのかな?」
不意に話の腰を折るフォルツ。
「いやそれゃないな、星石が全て無くなっていたんだ。魔物は星石なんてとらねえ。
傷痕も刃物で斬られたような痕だったしな」
だが棟梁の言葉で納得して黙る。
「ふーん、だからシーラの兵隊が警備してるのか」
ヴェイルがシーラの警備兵を見ながら言った。
「ああ、国にとってもこの町は大事な町だからな」

「次に輸送するのはいつなんだ?」
「一週間後だ」
アルス達はそれを聞いて依頼をもらうチャンスだと思った。
そして交渉に入る。
「実は俺達フリーの傭兵やってるんだけど輸送の時俺達を護衛として雇わないか?」
フォルツが尋ねると棟梁は少し考えるそぶりをした。
「うーん、護衛ならシーラ兵がいるしな。」
「こんな大人数で護衛してたらそいつらは姿を現さないかもしれないだろ?だから最小限の人数で隠れて待ち構えて、賊が現れたら一網打尽にすればいい」
「馬車に隠れられるって言ったら、星石も入ってるからせいぜい5、6人くらいだぞ。賊が大人数だったらどうする?」
「俺達なら賊の100人や200人どうってことないぜ」
フォルツの言葉が棟梁を驚かせる。
「すげえ自信だけど口だけならなんとでも言えるしな」
しかしその言葉を疑う棟梁にカチンときたのかフォルツは町の外に向けて杖を構えた。
「フリーズスティング!!」
フォルツが氷の上位呪文フリーズスティングを唱え町の外に巨大な氷柱が現れた。
「おお!!」
棟梁や作業員、警備兵達はそれを見て驚いたように目を見開く。
そして同時にアルスがその氷柱に向かって剣を走らせた。
"ザンッ"
という音が一つだけ聞こえた。
しかし氷柱は十字に斬り裂かれる。
アルスはインフィニティクルスを放っていた。
「すげぇ!」
棟梁達はそれを見てすぐにアルス達の実力を認めたようだ。
「よしわかった。あんた達に賭けてみよう。とりあえず町長の所に来てくれ」
アルス達は棟梁に連れられて町長の自宅へと向かい交渉する。決定権は町長にあるからだ。
棟梁からアルス達を雇いたいという話と、賊を一気に討伐する作戦を聞いて最初町長は渋っていたが棟梁の熱心な説得でなんとか契約は成立した。
報酬は成功報酬で、
星石を無事に輸送できれば5G(金貨5枚)
賊を全滅させてくれた場合は50G(金貨50枚)を支払うそうだ。
アルス達は傭兵をやることにして初めての依頼に胸を高ならせた。
そして星石輸送の一週間後までアルス達は棟梁の自宅で泊めてもらうことにした。
がさつそうな棟梁の家にしては意外にも綺麗な家で、家に入ると棟梁の奥さんらしき女の人と娘らしき小さな女の子が出迎えてくれた。
「おかえり、あんた」
棟梁の奥さんは明るく挨拶をする。
しかし娘らしき女の子は何も言わない。
ただぼーっとした様子でアルス達を見つめる。
「棟梁に似ずに可愛い娘ですね」
フォルツが冗談まじりに言うと棟梁が深刻そうな顔をした。
そしてそれを見て棟梁の奥さんが、その娘を奥へと連れて行く。


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