投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

紅館の花達の最初へ 紅館の花達 0 紅館の花達 2 紅館の花達の最後へ

紅館の花達-1

『ここが君の部屋だよ。』
そう紅様に案内されて部屋に入った私の表情が固まる。
一人で使うには十分過ぎるほどの広さと大きなベット。ソファーとテーブルまである。
『・・・気に入らなかったかな?』
固まったままの私を見て、紅様が尋ねてきた。
『い、いいえ、あの広すぎるくらいで・・・こんな部屋を私が使って、本当に良いんですか?』
『あぁ、もちろん。 さぁ、入りなよ。』
(信じられない・・・私の身分からしたら、有り得ない。 私は奴隷、この人に買われた奴隷のはず・・・)

振り返れば三ヶ月前のこと。私はエルフの村を旅立った。
今年で17になり、村の外を見たい気持ちが高まったからだった。 最初は母を始めとする村の仲間は反対したけど、私は譲らず、最後には母も折れた。
だが、私は外を知らな過ぎた。旅先の宿での優しい言葉に誘われ、差し出された飲み物を飲んだら眠気に襲われて、気付いたらそこは馬車の中だった。
『う・・うぅん・・・』
最初に私の目に写ったのは全裸の女性達。そして、服など何一つ身に纏っていない自分の体・・・いや鎖付きの首輪と腕輪が付けられていた。
『気付いたのね・・・』
ふと、隣から声がした。

隣に居たのは白銀の髪をした狐の獣人だった。彼女も全裸に首輪と腕輪・・・
『災難だったね・・・』
『あの・・・ここはどこですか? なんで私は裸に・・・?』
そう質問すると、獣人は首をかしげる。
『あんた、世間知らずだね・・・普通、こんな状況なら奴隷商人に捕まったってわかるけど。』
『奴隷商人!?』
驚く私を見て、獣人は苦笑しだした。
『はぁ〜エルフって外界を知らないって聞いたけど、ここまで知らないなんてね。』
しかし、私は彼女の言葉を聞いていなかった。
(奴隷・・・私が奴隷に・・・)
奴隷商人は知らないが奴隷は知っていた。以前、主人から逃げてきた奴隷がエルフの村に逃げ込んで来たことがあったからだ。
奴隷・・・人でありながら、馬や牛の如く働かされる。寝るところも、馬小屋が精々だと聞いた。
それでも、マシだ、女の奴隷はさらに過酷・・・
毎日が恥辱の連続、雌犬としか呼ばれなかったと、逃げ込んで来た奴隷は臨終で語った。
(その奴隷に・・・私が!)
『う・・・うぅ・・・』
『・・・泣きたいのもわかるけど、貴方はまだマシよ。 あなた、処女でしょう?』
言われた通り、私は処女だった。元々村には女しかいなかったので、村を出て初めてこの世界には男女の違いがあることを知ったくらいだった。

『処女なら、ここの商人は手を出さないわ。 処女だと、より高値で売れるからね。』
しかし、彼女さらに付け加えて。
『まぁ、結局買った奴に犯されると思うけど・・・あなた可愛いし。』
可愛い、そう言われたのも初めてだった。
本人は知らなかった。 少し紫色に近い黒髪のショートヘアーも、平均よりも小さめだが、お椀型で、細いウエスト、小さいヒップとのバランスが取れたバストなどが、どれほど男を魅了するかを。
『ねぇ、あなた、どこ行き?』
女性が尋ねてきた。
『え・・・どこって・・・知りません。』
女性はちょっと頭を低くして、私は首輪を見た。
『・・・王都行きみたいね。皆、行き先が首輪に書いてあるのよ、それよりも、あなたは多分大丈夫よ。』
女性は大丈夫と言うが、私には何故だかわからない。
『ねぇ、そういえばあなた、名前はなんて言うの?』『・・・私はシャナと言います。 あの、何故大丈夫なのですか?』
女性は少し考えてから、こう言った。
『シャナ、あそこには紅館があるからよ。』
紅館、一体なんなのだろう・・・
私はそれを聞こうとしたが、突然入って来た商人に遮られた。
『王都行きの奴。 あぁ、お前だ。 馬車の乗り換えだ。 降りろ。』

紅館について女性に聞こうとしたが、突然入って来た男に遮られた。
『王都行きのやつ。 あぁ、お前だ。 馬車を乗り換える。 降りな。』
男はそう言うと、私の鎖を引っ張る。
外には、別な馬車が用意されていた。今までのものよりも少し上等な質。
この馬車の中には私一人だけだった。


紅館の花達の最初へ 紅館の花達 0 紅館の花達 2 紅館の花達の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前