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impertinent teachar&student
【学園物 恋愛小説】

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impertinent teachar&student−3-2

「何か付いてます?」
その言葉で現実に戻る。
「いや、何もない。すまない。」
「別に構わないですけど…」
再び、真田は問題集と睨めっこを始めた。
いつからこんなに話すようになったんだろう?
俺はあまり人と関わらない。
授業を終えた後なのに、生徒と関わるなんて考えられなかった。
なのに真田は自然と入って来た。
何の隔たりもなかったかのように。
初対面の奴にはよく言われる。
「ちょっと…怖い」
って。
でも真田はそんな気持ちはないのだろうか?
それに真田が持っている雰囲気…



あいつによく似ている。


「先生」
はっと我に返る。
「何だ?」
「私が偉そうに言えたことでもないし、違うかもしれないけど…」
すっと立って、俺の傍まで来る。
椅子に座っている俺は真田を見上げる形になった。
真田はそれに気付いてか、しゃがみ、逆に俺を見上げる形になった。
「なんだ…?」
「無理しなくていいんですよ。」
真っ直ぐ俺を見ながら、言う。
哀れむ…とは、また違う。
本当に俺の事を心配してくれているような…そんな印象を受けた。
「…は?どうゆう意味だよ」
ふっと笑って視線を外す。
「先生、なんか頑張ろうとしてるように見えるから…みんなは『やる気なさそう』って言ってるけど、私はそう思わない。寧ろ、頑張ろうとしているから…」
「止めろよ」
自分でも驚くぐらい、低く冷たい声で、真田の言葉を遮った。
「ごめん…なさい」
真田が叱られた子みたいに謝る。
顔は今にも泣きそうだ。
「いや…すまない。気にしないでくれ」
真田は俯いた。

長い沈黙。

真田は下を向いたまま、俺を見ない。

数分か、数十分か経った頃。
俺は沈黙を破った。
「さっきは…すまなかった。今日、俺なんか可笑しいみたいだわ」
あはは、なんて笑ってごまかす。
「…」
真田は黙ったままだった。
「だから気にしないでくれ。なっ?あ、もう今日は遅いし、もう帰ろう。俺も帰るし。」
そう言って帰る準備をし始めた。
真田も広げていたノートやペンを鞄につめ始めた。
「あ、そうだ。再来週は期末テストだが、次は落とすなよ?でないと、成績ひどくなるからな」
笑いながら話す。
何ご機嫌取りみたいなことしてんだろ、俺。
「…んで?」
「…え?」
「先生、なんで私があんな点数取ったか分かってないの?」
こっちを見ながら言う。
その顔はまた泣きそうになっていた。
「先生。分かってるんじゃないですか?私がクールだとか言われているの。でもここにいるときは違った。そうでしょ?」
確かにそうだ。
教室では物静かな印象を受けるが、ここでは冗談でも言うぐらい明るくなっていた。


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