きっと、そうー保健室-4
まさかそんな顔をしてるとは思わなくて固まっていると、悠哉の手がのびてくる。
フッと癒芽の頭を撫でて
「帰らないよ。てか、こんな癒芽置いて帰れないよ。」
癒芽の顔が更に赤みを増す。
「ほら。だからもう寝る。」
頭を数回ぽんぽんと軽く叩いたあと、ベッドの傍にある椅子に腰掛ける。
「ありがとう。」
安心したのか、また睡魔が襲ってきて静かに目を閉じた。
「さてどうするか。」
スヤスヤと寝息をたてている癒芽を尻目に考えていた。
帰らないっていったけど・・・・・その間何しようか。
本でも読んでるかな。
保健室には大抵何冊かあるし。
案の定棚の上には、数冊の本が置いてあった。
適当に小説を手に取り、癒芽が寝ているベッドに椅子を寄せる。
夕日を背中に浴びながら、小説の1ページ目を開き、読み始めた。
部活の声が段々少なくなっていく。
背中に浴びていた夕日も何時の間にかなくなっている。
ん?
癒芽の体がぴくっと動いたように見えて、視線を向ける。
寝息をたてているが、目からは涙が零れている。
悠哉は、その涙を拭いそっと癒芽の手を握った。
涙の跡に優しいキス
「好きだよ。」