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僕とお姉様
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僕とお姉様〜僕の気持ち〜-3

「良かった、誤解が解けて」
「誤解も何も…」
「だって強君はあたし達が一緒にお風呂に入ってたと思ってたんでしょ?」
「はっ!?」
「違うならちゃんと説明した方がいいってお姉さんからメール貰ったの」
「…」

違うって。
そう思ったのはお姉様に吹き込まれたからで、僕一人の想像力じゃそこまで思いつかなかった。
結局僕は昨夜からあの人に頭の中を引っかき回されただけだったのか…



僕らが家に着いた同じ頃、父さんも帰宅。ひばりちゃんの「お帰りなさい」を言う嬉しそうな顔を見た時、目の前を星が飛んだみたいにチカチカ眩しくて。
早く諦めなければいけないんだという思いを胸に唯一の逃げ場である自分の部屋へ入った。
ジャージに着替えてベランダの手すりに肘をついてぼんやり空を眺める。
吐く息が視界を白く染めてなんとなく人恋しくなる、けど、大失恋直後の僕にその思いは人並み以上。
ため息をついて手を見た。そこには例の可愛すぎるリボンでまとめられた物体がある。
失敗したなぁ。
こんな明らかにプレゼントみたいな物、返って渡し辛い。せっかく買ったのだから渡したいけど、大体あの人こんな安物貰って喜ぶか?いや、別に喜ばせようとしてるわけじゃないけど。でもあげるからには…

「はあぁ…」

再び重いため息をついたその時、

「わっ!!!!」

いきなり大声と共に背中を押され、完璧無防備だった僕の肩は大きく上下した。

「あっははー、ビックリしたぁ?」

こんなくだらない事をするのは勿論お姉様。予想以上の反応を見せた僕にご満悦のようだ。

「何ため息ついて黄昏ちゃってんの?」

背中にサッと包みを隠した。やっぱり恥ずかしくて渡せそうにない。

「ひばりちゃんに何か言いました?」
「何か…あぁ、昨日の事?山田と山田父に仲直りして欲しいならちゃんと話した方がいいってメールしたよ」

やっぱりこの人か。

「その言い方だと説明されたんだ。誤解が解けて良かったね」
「良くねえよ!おかげでこっちは―…」

今日言われた事を一言一句間違えずに熱弁してるのにそれを聞いたお姉様はカラカラと笑う。

「あはは!マジで?あたしそんな事言わせるつもりじゃなかったのに。あの子無邪気に残酷だね」
「誰のせいですか」
「いいじゃん、デートできたんだから」
「全然良くない―」

スムーズに進む会話の流れの中で機会を伺っていたんだろう。
まだ話してる僕の背中に素早く手を回し、

「取った!何これー!?」

隠し持っていた包みが奪われた。

「あっ!」

取り返そうと手を伸ばしても意地悪される子供の様に右へ左へ避けられてしまう。

「誰かにプレゼント?あ、もしかしてあたしに―なんて」
「プレゼントじゃねえよ!…口止め料だ!!」

熱い。
夜で良かった、赤くなった顔を見られたくない。


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