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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-6

不思議に思ったアルスとフォルツは人影に駆け寄る。
その人影はどうやら兵士のようで、銀色の甲冑に胸に天使の紋章。
ホーリーの討伐隊のようだ。
一瞬ジェラルド兵に見えた二人だが、鎧の色ですぐに違うことに気付く。
そしてアルスとフォルツに気付いたホーリーの討伐隊もまた二人に駆け寄る。
「このリザードはお前達が倒したのか?」
恐らく討伐隊長であろう兵士の中で唯一赤いマントをした男が尋ねる?
「ああ、ついでに森の中にいた残りも片付けておいた」
アルスがすぐに答える。フォルツは何か言いたげな顔でホーリーの討伐隊長を見る。
「たった二人でか?」
ホーリーの討伐隊長は驚いた様子で二人に尋ねた。
「そうだよ!そんなことよりあんたら今まで何してたんだ!!この村は壊滅しちまったぞ!!」
今まで黙っていたフォルツが討伐隊達に向かって怒鳴った。
フォルツが何故無関係の人の死でこれほど熱くなるのか?
それはフォルツには家族も故郷と呼べるものもなかったからだ。
生まれてから一人きりだったフォルツにとって、家族が死に、故郷を失っていくのを直面した人の苦しみを、自分のかつての苦しみと重ねているからだった。
そしてフォルツと同じ境遇のアルスもまた同様だった。
ただアルスはあまりそれを表に出そうとはしなかった。
「すまない、しかたなかったんだ。」
討伐隊長は、グッと拳を握る。

「一体何があった?」
アルスは討伐隊の異変に気付いた
よく見るとその銀色の鎧は無数の傷が付いており、隊員達も怪我をした痕があった。
「実は」
アルスの問いに討伐隊長が口を開く。
「3日前にこの村を襲う魔物の討伐要請が出された。そして俺達討伐隊10人がこの村に向かうことになった。」
アルスとフォルツは討伐隊が10人いるはずなのにここに来ている討伐隊員が5人しかいないことを疑問に思ったが、すぐに討伐隊長が続けた。
「そしてこの村に来る途中、魔物に襲われている村を発見したんだ。放っておくわけにもいかない。まずはその村を救出してからこの村に来る予定だったんだ。」
「その魔物が想像以上にやっかいで足止めを食らってしまった。しかしこの村をこれ以上放っておく訳にはいかない。そこで半分の隊員を残し俺達はこの村を救出に来たんだ。」
「んじゃあもう一つの村も襲われてるのか?」
フォルツは討伐隊長の話に割って入る。
「ああ、今すぐにでも戻らないと。恐らく食い止めているので精一杯だろう。」
討伐隊長は切羽詰まった表情で答える。
「そこで君達に頼みがある。」
討伐隊長は頭を深く下げて言った。
「どうか力を貸して欲しい。頼む今は一人でも多くの魔物と戦える人材が必要だ。もちろん報酬も出す。」
討伐隊長は更に深く頭を下げた。
「いいだろう」
「よし、行こう」
アルスとフォルツは同時に答えた。
「本当か?」
「村なんてどうでもいいが、どうせ行く当てもないんだ。魔物と戦えば訓練になる。なおかつ金ももらえるなら断る理由もないな」
憎まれ口を叩くアルスを見てフォルツは"ふっ" と微笑んだ。
「恩に着る。俺の名前はゼストだ。とりあえず今からすぐにリーン村に戻る。詳しい話はリーン村に行きながら話す」
そう言うとゼストはアルス達が作った村民の墓に深く一礼をした。
それを見て他の隊員達も同様に深く一礼をした。

そしてアルスとフォルツは村民に祈りを捧げ、村を後にした。


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