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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-7

その後アルス達はリーン村へと足を走らせる。その途中、ゼストが説明を始めた。
「村に行く前に伝えておかないとな。リーン村を襲っている魔物というのはオーガのことだ。」
【オーガというのは二本足で立ち、木を飛び回り、鋭い爪と牙で攻撃する猿のような魔物だ。純粋な戦闘力ならリザードの方が上だがの厄介な所は呪文を扱える所にある。】
「・・・知ってるか?フォルツ」
アルスは魔物の知識に関してはからっきしで、こういった時は大抵、魔物などの知識が豊富なフォルツに頼る。
「まったくー、あいかわらず無知だなあ。」
微笑しながら言い放つフォルツにアルスは冗談まじりで睨みつける。いつものことだ。
「いいか?オーガってのはだなあ。猿みたいな姿の魔物で、リザードのように群れで活動してる。しかも呪文を使える魔物なんだ。」
「そう、その呪文のおかげでかなりてこずってしまったんだ。
特に炎の呪文が得意だ。」
鎧の焦げた傷跡を触りながらゼストが言う
「呪文を使う敵なら呪文を使う前に斬ればいいだけだ!」
剣の柄を握りながらアルスは言い放つ。
「頼もしいかぎりだ。
ところでお前達の名をまだ聞いていなかったな」
「・・・・俺はアルスだ。」
「俺はフォルツ」
ゼストが二人に名前を尋ねるとアルスとフォルツは多少渋った様子で名乗る。
「アルスとフォルツ?」
二人の名前を聞いてゼストは不思議に思った。
それは二人が歴史上の英雄 剣聖アルスと大魔導士フォルツの名を名乗ったからだ。
「・・・・俺達には名前が無いんだ。」
不思議そうな表情をするゼストを見てアルスが語り始めた。
「俺もフォルツも本当の故郷も知らなければ、両親も自分の名すらも知らない。だからかつての英雄から名をもらったんだ。」
「どうせ付けるなら派手な名前の方がいいしな」
二人はあまり深くまで話そうとはしなかった。
「そうか。それじゃあよろしく頼むぞアルス、フォルツ」
とだけ言うとゼストもそれ以上は深く聞こうとはしなかった。
そしてそれから一日歩き続けると次第にリーン村が見えてくる。
「さあもう少しだ。急ごう!」
ゼストの掛け声と共にアルス達は村に足を急がせた。

そして遂にアルス達は村に到着する。
村は殺伐としていた。
10件近くある民家の扉は固く閉ざされており。
村の外には誰もいなかった。
村を囲う冊は壊されており 所々に焦げあとが見られる。
そして村のはずれの民家一つが全焼していた。
「ゼスト隊長!!」
ゼストを呼ぶ声が聞こえ、アルス達が声の聞こえる方に目をやるとゼストの鎧以上にボロボロになった鎧をまとう討伐隊員5人がこちらに向かってきた。
アルス達の後ろをついてきていた残りの討伐隊員達も5人に駆け寄る。
そして
「よく生きてな。」など声を掛け合う。
ゼストも隊員達に駆け寄ると
「よく無事だったな、今の状況は?」
と尋ねる
「はい、あれから数回襲われましたがなんとか退けました。ただ民家が一つ・・・・」
隊員が全焼した民家に目をやる。
「そうか・・・・。死傷者は?」
「まだいません」
「よし、よくやったぞ」
ゼストはほっとした様子で隊員の肩を叩く。
「だが、こっちは駄目だった。村一つが壊滅してしまった。」
ゼストはうつむきながら言う
「しかたないですよ。俺達は精一杯やったんです。死んだ村人達も解ってくれますよ」
「ああ・・・・そうだな」
「ところでオーガはどのくらいの数なんだ?」
フォルツが討伐隊員に尋ねた
「あの隊長、この人たちは?」
討伐隊員はアルスとフォルツの存在に気付いた。
「ああ、この二人は助っ人だ。サレスの村を襲った数十匹のリザードをたった二人で全滅させたんだ。」
ゼストは誇らし気に語った。


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