Cross Destiny
〜神竜の牙〜@-5
数は先ほどとほぼ同じ、そして20匹程はいるだろうその数の中に他のリザードより一回り体格の大きなリザードの姿があった。
「なるほど、お前が頭ってわけか」
アルスはリザードの主に斬りかかろうとした。
「グオオ」
しかしその時周りのリザードが一成に襲い掛かってきた。
リザードはアルスを取り囲むと一気に爪で攻撃をしかけた。
「チッ」
しかしアルスは四方八方からの攻撃を全て剣で受け流す。
「邪魔だーー!」
アルスは剣を振るうとそのまま円を描き周囲の敵の胴を一気に切り離す。そして風圧で吹き飛ばされた更に周りの敵の心臓を順に突き刺していく。
敵はついにリザードの主一匹だけになった。
「グオオーン」
リザードの主は低いおたけびと共に襲い掛かってくる。
「これで終わりだ!」
突進してくるリザードの主にアルスは横薙ぎの斬撃を繰り出す。
しかしリザードの主はそれを跳躍でかわす。
「ふん、他の雑魚とは少しは違うらしいな」
その時
「アイスエッジ!」
氷の下位呪文を唱える声と共にリザードの主に向かって氷の刃が飛ぶ。
足を貫かれたリザードはそのまま落下し 地面に叩きつけられる。
そしてそれを見逃さずアルスはリザードの主の心臓を突き刺す。
リザードの主はそのまま死に絶えた。
「ふう、やっと片付け終わったか」
ホッと肩をなで降ろすアルス。
「俺の呪文のおかげでな」
先ほどリザードの主に氷の呪文を放ったのは、そう なんとかアルスに追い付いたフォルツだった。
「お前は殆ど何もしてないだろうが」
アルスは剣を背中に納めながら悪態をつく
「そんなこと言うなよ。これでも全力で走ってきたんだぜ」
しかし明るく返すフォルツだった。
リザードを全て倒し終えたアルスとフォルツはとりあえず村に戻ることにした。
「なあ」
村に戻る途中フォルツがアルスに声をかけてきた
「なんだ?」
「これからどうする?」
フォルツはアルスに尋ねた。
二人には目標はあっても進む目的は無かった。
とりあえず修業がてら世界を周りながら魔物を倒す。そんな暮らしを3年続けていた。
そして目的地を決めなければいけない。フォルツはそんな時、決まってアルスに尋ねる。
フォルツは特に優柔不断という訳では無いが、昔からこういったことを決めるのはアルスだった。アルスは何事もめんどくさそうな態度をするが、いつもこういった時は的確な判断をするからだ。
そしてフォルツは親友のアルスを特に信頼しているからだ。
「適当でいいだろ」
そしてアルスはいつものようにめんどくさそうに答える
だが内心はフォルツに信頼されてることに対して嫌な気はしていなかった。
「まあとりあえず近くの村を探さないとな。結局休めなかったし」
アルスは続けて言う。
「それと、この国に来るのは初めてだ。まだ遭遇したことのない魔物とでぐわすかもしれない」
「さっきのリザードも会うのは初めてだったしな」
「ああ、まだ遭遇してない厄介な魔物と戦えればそれだけ修業になる」
「つまりしばらくホーリーを旅するってわけね」
フォルツが納得した様子で聞き返す。
「ああ」
そして二人が村に戻ると、誰もいないはずの村に5人の人影が見えた。人影はリザードの死骸を見ながら何かを話しているようだった。