Cross Destiny
〜神竜の牙〜@-13
アルスはフォルツが釣った魚の腹わたを剣で器用に取り除くと近くにある細い枝に刺していく。
フォルツは手頃な薪を拾ってくると加減したファイアーシェルで火を付け魚を火のそばの地面に刺し、焼き始める。
辺りに香ばしい匂いが立ち込める。
「いっただっきまーす」
魚が焼けるとフォルツ とアルスは噛り付く。
数分もしない内に二人は食事を済ますと。
渋るフォルツを引きづりアルスは出発する。
そして相も変わらずの川辺の景色をよそに数時間歩く。日が沈み、辺りが夕日の赤で染まる。その時アルスの目に黒い衣をまとった人間3人に一人の少女が終われているのを見た。黒い衣をまとった恐らく男であろう3人は顔にも衣をまとい素顔は良く見えない。
少女の方は金色の長い髪で、年はアルス達と同じくらい、白い衣服をまとっていた。
「逃げられるとでも思っていたのか?」
黒い衣の3人が不適な笑みを浮かべその少女に近づく。
「お、おい、アルス。なんかやばいんじゃないの?」
「ああ、そうだな」
アルスは無表情で言う。
「ああそうだな、じゃねえよ助けにいかないと!」
「けど、ああいうベタな展開に手を出すとろくなことが無い」
「なーに訳の解らないこと言ってんだよ?美人な女の子が襲われていたら助けるのが当然だろうが」
フォルツがアルスの腕を引っ張りながら少女の元に向かう。
「お、おい」
「待て待て待て!お前ら何してやがんだ!!」
フォルツがそう叫ぶと同時に、その少女が黒い衣の3人に腕をかざす。
「いや、来ないで」
少女は風の下位呪文、ウィンドスローを放った。
「この俺が・・・ん?どわああああ」
"ドボーン"
アルスとフォルツは黒い衣の3人と同時に川に吹き飛ばされた。
黒い衣の3人は至近距離で呪文を食らったため気絶したまま下流へと流されていく。
アルスとフォルツは大した怪我も無く自力で岸まではい上がった。
「だから言ったんだ、ああいう展開に手を出すとろくなことが無いってな!」
アルスはフォルツの胸ぐらをつかんで言った。
「じゃあ放っとけってのかよ!この薄情もん!!」
フォルツもアルスの胸ぐらをつかんで言った。
「あの」
先程の少女が二人に話し掛ける。
「そうは言ってない!考えも無しにすぐ不要に飛び出すのは止めろって言ってるんだ阿呆」
「阿呆だあ?阿呆って言いやがったな!」
「あの!!」
少女はさっきより大きな声で二人に話し掛ける。
「あ、君は!」
フォルツがその少女に気付いた。
「あの・・・・さっきは、私を助けようと・・・・・したんですか?」
少女が戸惑った様子で尋ねる。
「俺は別に・・・いてっ」
そう言いかけたアルスを突き飛ばすフォルツ
「あ、当たり前じゃないですか、そんな綺麗な子が襲われてたら助けないわけにはいきませんよ!」
フォルツは微笑みなが言う。
「・・・・・そうですか。」
少女はそう返すと振り返り立ち去ろうとした。
「ちょちょちょ、ちょ待てよ!
それだけ?『ありがとう』とか『ごめんなさい』とか何も無しかい!?」
黙って立ち去ろうとするフォルツが少女に突っ込む。
「ごめんなさい」
少女はそう言うとまた立ち去ろうとする。
フォルツはそれを見てずっこける様な動きをする。