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WAKALE
【失恋 恋愛小説】

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WAKALEー浩人ー-7

『俺…、何であの時あんな簡単に別れを受け入れちまったのか…、よくわかんねえんだ。抱きしめてやりゃ良かったのにできなくて…。こんなに好きなのに…。』
『お前も混乱してたんだろ。初めての事で。』
『…かなぁ。…俺、とにかく悲しくてさ。あいつにあんな顔させた、自分が情けなくて。迷ったんだ。今更、好きって言って、信じてもらえるのか。』
『でも言う気になったんだろ?』
だから、カフェに来た。翔はコクンと一度頷いた。
『やっぱり俺、あいつじゃないとダメだからよ。どうしても取り戻したいんだ。離したくない。自分勝手かとも思ったけど…』
翔の想いを後押しするかのように言った。
『でもわかったろ?今ので。空ちゃんも、お前じゃなきゃダメなんだよ。』
『…俺…、諦めねえ。』
翔に少し笑顔が戻った。自信を取り戻したみたいだ。
『頑張れよ。』
翔の肩をポンと叩いた。
『ごめんな、浩人…。疑ってさ。』
『別にいいよ。』
お前の空ちゃんへの想いが確かなもんだって分かったしな…。それに…
『俺、空ちゃん好きだよ。』
下を向いてた翔がバッと顔を上げた。相当驚いてる。
『けど、お前じゃなきゃ空ちゃん幸せになれないみたいだから。』
『浩人…。』
『それに俺、お前裏切れねえもん。』
そう。幼稚園から一緒だったコイツを。人気者の翔にジェラシーを持ったりもしたし、自己嫌悪になったりもした。でも。
『俺はお前が、大事だから。一生親友やってくつもりだからよ。』
翔を見て、そう言った。少しこっぱずかしいけど本当だから、仕方ねえな。
『だから、幸せにしてやってくれよ。空ちゃんをさ。』
翔は、泣きそうだった。俺も、泣きそうだった。けど、気付かないフリをした。
『…おう、任せとけ。』
涙声でそう言った翔。弱いくせ強がりで、バカで、でも素直で、いつも前向いてる。そんなお前と、俺の心から愛する女(ひと)ーー。お前らが幸せなら、俺も、幸せになれる気がすんだよ。

外はもう夕暮れだった。オレンジ色の夕日がやけに眩しくて、俺たちは黙ったままずっと座っていた。本当はもっと聞きたい事とか言いたい事とかあったけど、もうどうでも良かった。苛立ちも、今までの複雑な感情も、こうしてる時間が心地良くて忘れていた。やっぱり俺は、翔…、お前にはかなわねえ。でもそれでいい。そんなんも悪くないって…、心からそう思えるからーーー。


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