Twilght Closse]〜塩の贈呈〜-2
内容はこうだ。
まずはインターホンで奥山に入れてもらう。
もし無視された場合、例の蛇的侵入で玄関前まで突破。
次に部屋のインターホンを押し外から開けてくれと頼む。
しばらく粘り、「帰る」と言って足踏みしてあたかも帰った様に見せる…
「そしたら流石に本当に帰ったか確認したくなって出てくるでしょ?その時に無理矢
理上がり込んで土下座、平謝り」
「もしそれで出てこなかったら?」
「自分のヘタレ具合を恨みなさい」
つまり、奥山にどれだけなつかれてるかを試される作戦だと言う訳だ。
「じゃ、だめ押しのお詫びの品でも買いに行きましょ。奥山さんの好きな物、分かる?」
「飯なら何でも良いが、特にニラ玉とラーメンはかなり良い反応をする」
少し考え込んで、思い立って西野は言った。
「家のラーメン玉あげる。アンタ、ラーメンとか作ったこと無いでしょ?」
家がラーメン屋の西野。こんな時にコイツは良い家に産まれてて良かった。マジで親に感謝。
「悪いな。何から何まで…」
「当然、高くつくわよ?」
…
…え?
「当たり前でしょ?悩み事の相談に加えてウチの秘伝の麺をあげるって言うのよ?それ相
応の対価をもらうに決まってるじゃない!」
こいつが狙いかァァァァァァァァァアァァァァ?!
忘れていた…二つの事柄をすっかり忘れていた。
この世の中は等価交換で成り立ってる事…
コイツはさっきまで俺を助けてくれたけど、敵だったと言う事…
お…俺としたことが…
「む〜そうね〜…一日中、ウチで客さばいてもらおうかしら?」
そんだけ?
って言ったら追加メニューが来るに違いない。
ここは少し多いなって反応をせねば!
「そ、そこまで?」
「そうよ。それでも足りない働きよ?」
俺ナイスハンドリング。プラスは無い様だ。
「クッ…」
ついでに演技で悔しがっておこう。
「ま、健闘、祈ってるわよ。さ、急ご」
いつもは何だか不機嫌な顔をしてるのに、笑顔だった。西野が。
神様ありがとう…今日こいつの機嫌がよくて…きっとこれは日ごろの行いの良い俺に…
「じゃ、約束通り私の奢りね。…あれ?」
「…どうした?」
「…お金が…足りない…」
「…マジで?」
「…マジで」
結局、俺は自腹でハンバーグプレートを払った。
まぁ、なんとなく予知してたさ…orz