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Twilight Closse
【青春 恋愛小説】

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Twilight Closse外伝〜西野そのみの攻防〜-1

西野そのみ15歳。
私の名前の由来を聞くと、
「だって〜何だか小説の中の乙女みたいな名前じゃな〜い」
と、ほにゃほにゃした私の母さんは答えてくれる。そ…の…み…うん。乙女っぽい。

残念なのは、肝心の中身が全然乙女じゃない事。
父さんは粋な漢(と書いて男)だし、家はラーメン屋だし…
こんな環境じゃ乙女は育たなくても仕方がない。
できたのは男勝りで勝ち気な暑苦しい女…今の西野そのみ、私だった。
最初はこれでも良かったんだ。
友達はたくさん作れたし、恋愛なんてやらなくて良いって思ってた。
何より何でも楽しく感じる性格で、毎日が楽しかった。
でも、あいつに会っておかしくなってしまった。

平野十字朗。

忘れもしない中学一年7月の調理実習。綺麗な包丁捌きの男だった。
あいつのどこが良いか分からない。勉強も運動も平均以下。顔だって決して美形でもない。
ただ綺麗にジャガイモを剥いてくその姿に、なんとなく、惹かれた。
惹かれて、恋をしてしまった。

その時から、私の性格はこの世で一番邪魔な物になってしまった。
女のように他人と接する事ができない私は、何かと十字朗と衝突した。

心の中でなら何とも言えた。
「この世で一番好きなのはあなたです」
とか
「私を貰いなさい」
とか…
席が隣だった頃はいつも妄想を膨らませ、ドキドキしていた。
その…キ……接吻する妄想…とか…

でも現実では体がうまく動かない。
十字朗を名前で呼ぼうとしても、口からは勝手に「平野」と言う言葉が出てくる位。

私の性格は、初めて会ってから3年ちょい…丁度今の今まで私を妨害してきた。

土曜日。朝方。猛暑。
タンクトップとパンツしか着てない私は、布団の中で友達の朋美が言ってた言葉を思い出していた。
「男子って、今頃が思春期だからさ。女とかに見境無いのよ。狙い目よね」
見境ない…と来たわね…
まぁ朋美の過剰表現かも知れないけど、生物学上、男性はこの頃思春期を迎えるのは事実。
狙うのは今位と言うのは間違ってない。

……
………
「おわッッッ!ダメだって!それヤバい!あり得ないから!駄目駄目駄目駄目!」
何を想像したかは聞かないで欲しい。何故ならその方が恥ずかしくないから!
枕に顔を押し付けてばた足でホコリを舞わせる。

「ハァ…」
何やってんだろ…私…
こんな事してる暇がある位なら、少しでも女を磨かなきゃならないのに。
…アイツが振り向いてくれる様に。
「…よし」
私は布団をたたみ、ラーメン屋従業員の服を着た。


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