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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ5-2

「ちょうど三人一緒だったみたいで、みんなオッケーやって」
「そっか、よかった」
青空は先ほどまでとは打って変わり、表情を和らげた。
『何時に待ち合わせる?場所は駅でいいだろ』
「せやな。時間は18時でええやろ」
「オッケー」
『……で、またお前が電話するのか』
「アッハッハ」
灰慈は軽いのかそうでないのかよくわからないな。



そうして夏祭り当日を迎えた。
『18時でもまだ暑いな』
「全然暗くなる気配ないね」
青空とはこの間、気まずい雰囲気になったものの、今は相変わらずだ。
『……で、なんで灰慈は遅い?』
「瞬も思った?」
『ああ……予想が当たらなければいいけどな』
「俺も今そう思った」
しかし、そのときだった。
『……あ』
「あ」
やはり、予想はその通りになった。
『なんでアイツはいつもああなのかね』
瞬の視線の先には、灰慈と女の子三人組の姿が。
「まさか…全員狙ってるわけじゃないよね」
『さあな。アイツがなに考えてるかは未だにわかんねぇ』
「うん。まぁ、もうなれたけどね」
『………同じく』
食堂でもあったが、灰慈はこういうやつである。高校からこうなので、二人は全く気にしてはいないが。
しかし、全員持っていくとなれば話は別だろう。
多少大げさだが、今はお互いに腹の探り合いと化していた。
しかし、それは女性陣も同様のようだ。
「こんばんはー♪ってまだ夕方かー!瞬くん青空くん元気ー?」
「………(葵!)」
「………(葵ちゃん!)」
「……む(なんやねん!)」
「やぁ!(灰慈、なに考えてるんだろう)」
『………(ドロドロしてきたな)』
そうして、六人が集合した。
『………お』
見ると悦乃はピンクの浴衣を着ていた。
「……悦乃ちゃん、浴衣なんだ!馬子にも衣装じゃなくて、本当に孫にも衣装だね!」
「……?」
由貴は首を傾げた。
さすがに、まだ青空の“天然”は女の子達に理解されていないようだ。
「……ありがとう。でも、みんな私服だっから失敗しちゃったぁ…」
「まぁ、人も増えてきたし、そう目立たんよ♪ほな、そろそろいこか」
灰慈はケラケラ笑い、歩き出した。
出店が多く並んでいる大通りをブラブラ歩く。
時折、止まっては遊んでいく。
「あー射的♪」
「おっし、やろうや」
灰慈と葵はコルクと銃を受け取り、ギャーギャー騒いでいる。
灰慈は立て掛けてある商品めがけて、強く引き金を引いた。
「おっしゃー♪あめ玉や」
「キャー♪」
灰慈は見事にお菓子の的を落とした。
「……青空くんはしないの?」
由貴が青空に聞く。
青空は考える仕草を見せる。
「んー…荒野のガンマンもいいけど、俺はメジャーリーガーかな」
「……?」
青空は久々にみんなで遊べて舞い上がっているのか、最早なにが言いたいのかわからない。
青空はそう変なことを口にしながら、隣の出店へ。そこは的当てだった。


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