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淫魔戦記 未緒&直人
【ファンタジー 官能小説】

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淫魔戦記 未緒&直人 3-10

パーティーがお開きになる頃、未緒は伊織と共にホテルの最上階にあるスカイラウンジに移動していた。
閉店間際でもないのに他の客の姿が見えないのが多少気にはなるが、今聞きたい事の前では些細な事だろう。
カウンター席のスツールに並んで座りながら、未緒は内心を無理矢理納得させる。
護衛の二人はちゃんと合流し、雰囲気をぶち壊さないようにとラウンジの外で待機してくれている事だし。
「じゃ、まずは乾杯」
カクテルグラスを目の高さまで持ち上げ、二人は乾杯した。
なるべく酔いたくないが心証を損ねるのは嫌なので、未緒は付き合いで低アルコールのバレンシアを。
よほど肝臓が強くできていて酔わない自信があるのか伊織はアルコール度の高いハンターを、それぞれ注文している。
「いいの?彼氏、心配してるんじゃない?」
一杯目を軽く飲み干して二杯目を注文しながら、伊織はそう言った。
「いいんです。納得はしてくれていないでしょうけど、私がどうしてもあなたに聞きたい事がありましたから」
「へえ?」
伊織は片眉を上げてみせる。
「どんな事を?」
「えっと……」
未緒は返答に詰まった。
自分が今聞こうとしている類の事は、初対面の人間にしてはなれなれしくてプライベートに踏み込み過ぎている。
だが幸運に幸運が重なって伊織と会えたのだから、この機会に聞いておかねばこの後一生聞く事はできないだろう。
「その……こんな事を聞くのは変だと思われるでしょうけど……」
お義理で一回口を付けただけのカクテルグラスをもて遊びながら、未緒は意を決して尋ねた。
「伊織さん……のご両親かご先祖に……特殊な方はいらっしゃいません?」
「特殊?」
伊織はいぶかしげに聞き返す。
「それは何?手足が不自由とか知的障害者がいるかという話?」
「あ、そうじゃなくて……何て言えばいいのか……その……」
うつむく未緒に、伊織は笑いかけた。
「冗談……でも特殊な人なら、一人いる」
「え?」
意外な一言に、未緒は驚く。
伊織はバーテンダーの方へ視線を走らせた。
バーテンダーはカウンターの向こうで黙々と、グラスを磨いている。
「……二十年近く前の話になるか」
未緒はカクテルを一舐めし、伊織の様子を伺った。
「俺はとある理由があって日本へ流れて来て……俺が満足するほど霊感に優れているが未だ自分の能力に気が付いておらず、なおかつ見目好い女を十名ほど選抜し、犯した」
一瞬何を言われたのか理解できなくて、未緒は硬直する。
「十名全員が孕んだが、そのうち四人は堕胎。産む事を決意した六人のうち二人は流産。残りの四人は何とか出産したものの、俺が望む能力を備えて生まれたのは、わずかに一人だけだった」
危険!危険!危険!
頭の中で、警報が鳴り響く。
「あ、あの……」
立ち上がろうとして、未緒は愕然とした。
まるでスツールに腰が張り付いてしまったかのように、立ち上がれない。
伊織が不意に、体を動かした。
ふわっ……
香水だろうか?
鼻腔に届いた香りを、未緒は思わず吸い込んでしまう。
「っ!?」
ずぐん!
何かが、全身を走り抜けた。
「あ……あ……!?」
じゅわっ……
じくじくっ……
何の前触れもなく溢れてきた秘蜜が、ショーツを濡らす。
「……本家のフェロモンは良く効くだろう?」
伊織の声が、パニックを起こしかけた未緒に冷水を浴びせた。
「っ!?」
ついっ、と伊織の指が未緒の足を割る。
「あっ……ふ、ううっ……ん、あふっ」
蜜の溢れる場所をまさぐられ、未緒は声を上げながらぷるぷると頭を振った。
「嗅いだだけでこんなに濡らして……」
伊織は分泌物でぬめ光る指を、未緒の目の前に差し出す。
「そうそう。話の続きだけど……生まれた子に俺が望んだ能力は、三つある」
指の愛液を舐め取った伊織は、身を震わせている未緒を見て笑った。
あざけるようにではなく、可愛くて仕方ないというような笑い方だ。
「一つ目は、女である事。これは大前提で、どうしても譲れない条件だな。二つ目は、容色に優れている事。俺の目的を達成するためにはあまり必要でもないが、どうせなら美人の方がいい。最後に……」
伊織は未緒を抱き寄せる。
「俺の……淫魔の血を受け継いでいる事だ」
伊織の言わんとする事は、つまり……。


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