淫魔戦記 未緒&直人 2-4
「はふ……」
頭からシャワーを浴びながら、未緒は思わずため息をついていた。
二人がいるのは繁華街から程近い場所に建つ、伝統と格式あるホテルのスイートルームである。
−お互い制服姿だからと言って直人が食事の場所にと連れていってくれたのは、ビストロと言った方がふさわしいほどカジュアルなフレンチレストランだった。
オーナーシェフが榊の友人で何の気兼ねもいらないため、余計なちょっかいをかけられたくない時はよく利用するのだという。
店構えはカジュアルだが味はかなり本格的で、二人はシェフが大いに腕を振るってくれた料理に舌鼓を打った。
腹ごしらえを済ませた後は、映画館へ。
最近話題の映画を観た後このホテルに連れてこられ、ラウンジで一服していたら直人が懐からおもむろにホテルのキーを取り出したのである。
未緒は、うなずいて意思を示した。
そういう訳でここにいるのだが、恋人として体を重ねるのは今夜が初めてだ。
「直人、様……」
バルブを締めてシャワーを止めると、未緒は姿見に体を映してみた。
全身に張り詰めたきめ細やかな肌はあくまでも白く、髪や秘毛の色合いを余計煽情的に見せている。
身長162センチ、体重47キロ。スリーサイズは上から89・55・86。
やや腰が細すぎるきらいはあるが、見事なスタイル。
綾女ほどの美人ではないが性別に関係なく好かれる、十分に魅力的な顔立ち。
鏡の中の自分を見つめながら、軽く乳房に触れてみる。
ピリッと、電流のような刺激が走った。
乳首がみるみるうちに固く張り詰めてくる。
何となく緊張している心とは裏腹に、体は愛撫される事を待ち望んでいた。
それが分かって、未緒は赤面する。
「……」
固くなった乳首を、軽くつまんでみた。
「んッ」
体中を走る快感に、思わず声を漏らす。
「あ……」
今度は、乳房を揉んでみた。
「ああ……」
腰骨がぞわぞわする快感に、先程よりも切ない声が漏れる。
ほっそりした腰から手を這わせ、足の間へ。
そこはシャワーで浴びたお湯以外のもので、早くも湿り気を帯びていた。
「ん……あ、はあ……」
指で優しくいじると、体の奥が熱くなってくる。
その熱が、潤いを導いてくる。
すぐに、未緒は行為に耽ってしまった。
「ああ、あっ、んっ、ふっ……!」
やがて、未緒の全身が激しく痙攣する。
「あ、あ……」
ずるずると床に座り込んだ未緒の表情は、至福の満足感で満たされていた。
「……ずいぶん遅いと思ったら」
不意にかけられた声で、未緒ははっとした。
「あ……」
「一人で楽しむなんて、ずるいよ」
バスローブを羽織った直人が、傍らに来た。
「そんなに待ち切れなかったわけ?」
「い、いつからそこにっ!?」
上ずる未緒の声に答えず、直人は顔を傾けて頬にキスしてきた。
「割と始めの方から見てたよ。おかげで、参考になった」
そのまま舌を出して愛撫に移りながら、直人は未緒の足の間に手を滑り込ませた。