淫魔戦記 未緒&直人 2-12
「あ、綾女!?」
直人は声を上げたが綾女は無視し、トランクスごとズボンを引き下ろして下半身を露出させた。
年の割に使い込まれた肉棹が、綾女の目を潤ませる。
「ああ、これが直人様の……これであの女を何度もイカせていたのね」
呟き、綾女はそれを口に含んだ。
「っ」
直人は反射的に目をつぶる。
実を言うと直人は、本番は強いがフェラチオに対する耐性があまりない。
この一年の間に未緒にあまり要求しなかったのが、その原因だ。
頼めば一生懸命愛撫してくれるし気持ちいいのだが、未緒がイク前に自分がイクと未緒を抱く意味が薄くなってしまうのであまりさせないようにしてきた。
恋人として付き合うようになったのだから、これからは未緒の愛撫を存分に楽しもうなどと考えていたのだが。
「うふっ……んむ……」
口中でみるみる勢いを増してくる肉棒に満足感を覚えつつ、綾女は激しく舌を使う。
「んぷ……」
綾女が満足して口を離す頃には肉柱はそそり立ち、ふぐりまで満遍なくまぶされた唾液と先走りで全体がぬらぬらと光っていた。
「ああ、すごい……」
うっとりとした声で呟き、綾女はいそいそと立ち上がる。
パンティを脱ぐと、綾女は直人に体を密着させた。
「直人様……お慕いしております」
唇を奪い、綾女は直人と一つになった。
熱く柔らかな肉襞が、直人を包み込む。
「んふっ、あはっ……ああ、すごい……!」
腰を振り立てて快楽を貧りながら、綾女は直人に何度も口づける。
未緒に見せ付けるように。
未緒は顔を背け、その光景を見ないのと護のキスを避けるのとに専心していた。が。
「うっ……あ、ああ……あ、いやあ……!」
亀頭で剥かれた肉芽をつつかれ、未緒がのけ反る。
その反応に気が付いて、護は執拗につつき始めた。
「ああっ、あっ……や、やめてっ……んく、んっ」
つつかれる度に未緒はとろとろと愛液をこぼし、切なげに腰を震わせる。
護は未緒の股間に自らの肉棒を挟み、擦り始めた。
いわゆる、素股だ。
「いっ……いやあっ!」
未緒の上げた悲鳴を快楽の声と受け取ったか、護は激しく腰を動かして未緒の敏感な部分を擦り上げる。
「み……未緒っ!」
直人は叫ぶが、体を動かす事ができない。
動かしたら、護が殺されてしまう。
たとえ未緒に横恋慕していてこの場の邪魔以外の何者でなくとも、目の前で殺されてしまうのは避けたかった。
『直人、様……!』
奇しくも、二人の声が重なった。
一人は助けを求めて。
もう一人は絶頂に達する寸前で、恋した男の名を呼んで。
直人が応えるのは決まっていた。
「未緒!」
「あっ……ああっ!」
未緒の表情が、イク時のそれになる。
こんな瀬戸際になってようやく、未緒は決心した。
直人は悲しむだろうが、この状況を打破できるのはおそらく自分の力しかない。
「未緒……?」
その背中から黒い影のようなものが伸び出てきているのに、直人は気付く。
まさか、未緒……。
心の中の呟きが、現実となる。
服を突き破り、蝙蝠の羽根が飛び出てきた。
その勢いで、式神が切り裂かれる。
「なっ……!?」
綾女の狼狽した声に、直人はほくそ笑んだ。
「あ、あれはっ……!?」
「もう一人の未緒の覚醒だ。自分が仕出かした事の愚かさを、たっぷり味わえ」