BLUE 〜出会いと始まり?〜-1
「おぉ、寒い」
誰もいない道路に向かって独り言を呟く。
寒いのは当たり前っちゃあ当たり前だ。
ここは本州でもかなり北の方の県だ。
道路に人がいないのは、ここが田舎だから、というのと、今日の日付と今の時間のせいだ。
今日は1月1日。そして時間は早朝。
平たく言えば、元旦の朝っぱらから俺は散歩に出かけようとしている。
なんでこんな時間に、と思う人もいるだろうが、数年前から俺の新年最初の外出はこれだ。
正月の朝から出かけようなんて考えるのは俺ぐらいだろうから、人も車もほとんどいない。
それに、誰も踏んでいない綺麗な雪を見れる。
散歩に絶好の日なのだ。
そんな解説を頭の中でしながら、適当に歩き回る。
ちなみに、散歩と言っても、近くのコンビニに遠回りして行き、雑誌や漫画、菓子を買って家に戻るだけ。
無駄と言えば無駄だが何とも言えない感覚に襲われる。
自分だけが世界に包まれているような気がしてくるのだ。その感じが心地よく、俺は毎年こうして散歩に行く。
そうして、やっとのことでコンビニに着く。
なんで正月から…みたいな顔した店員に金をはらい、コンビニを出る。
いつもならここで帰るのだが、真っ青な空と青っぽい雪を見ていると、帰ってしまうのが惜しくなってきた。
それから30分ほど歩き回り、国道にでた。
そろそろ凍えそうになったので帰ろうか、と思った時だった。
路地から出てきた俺と同い年ぐらいの少女が、いきなり道路に飛び出した。
元旦だし大丈夫だと思ったのだろう。
それに雪が音を吸収するため、音も聞こえない。
だが、なんと言ってもここは国道だ。少しは車も通る。
調子に乗ってかなりのスピードを出していたトラックが、彼女のすぐ横に迫っていた。
助けなければならない。
それだけが頭の中に浮かぶ。次の瞬間には、俺は彼女を守るようにしっかりと抱き締めていた。
ヤバい。
そう思ったときにはもう手遅れだった。
さすがにこの速さのトラックに跳ねられれば私でも死ぬ。死ぬんだ、と思ったとき、かなりの衝撃が全身を襲う。 物凄く青くて綺麗な空だけが視界に映った。
何度か雪、というよりもタイヤに踏み固められ、氷のようになった地面の上を私の体が跳ねた。
そして、かなりの距離を滑ってやっと止まる。
恐る恐る目を開くと、また、綺麗な青い空が見えた。
その次に感じたのは、暖かいものに包まれているようなかんじだった。
暖かいものを見てみると、それは男の人だった。
頭から血を流している。
私は自分の体を見てみる。 外傷と呼べるものは、全くと言っていいほどなかった。
私、生きてるの…?