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School days
【学園物 官能小説】

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School days 3.3-3

その日から3のE(宴のクラス)の準備はトントン拍子に進んで行った。みんな
も賢輔を受け入れ始めている。
「これ、ここ付けるんだよな、白井」
「そうですけど、僕白井じゃありません、白石です!いい加減覚えてくださいよ
〜…」
「まぁいいじゃない、白井♪」
「松岡さんまで…全くもうっ!」
「…あれ、近藤くん、それ逆だよ」
「はっ!?おい、」
「「白井〜!」」
そんな感じだ。それぞれが楽しそうに仕事をしている。みんなキラキラ輝いて見
えた。
宴もそれは嬉しかったし、誇りでもあった。

でも。

その一方でおかしな気持ちが存在していた。賢輔が誰かに笑うたび、話すたび、
触れるたび、どこかがざわめくのだ。
みんなと仲良くなって嬉しいはずなのに…
「宴、まだ終わりそうにない?」
勝平の声にドキリとする。
(やだ、私なに考えてたんだろ…嬉しいに決まっているのに)
考えていたことがばれるはずは無いのだが、後ろめたさが生まれる。
「うん、さすがに今日は遅くなるかな。何たって前日だもん。先帰っちゃってい
いよ」
そうだ、今日は前日なのだ。本番は明日。衣装も小道具も仕上がっている。後は
お化け屋敷の会場を仕上げるだけだった。が、そんな簡単なものでは無い。何せ
普通の教室よりも大きい視聴覚室を丸々お化け屋敷に変えるのだから…
話す宴の後ろでは、クラスメートが忙しそうに動いている。
「忙しそうだな、じゃ、先帰るよ。なんかあったらメールしろよ」
宴は笑って見送った。そしてキュッと振り返る。
「さぁて、ラストスパートだー!」

結局すべてが終わったのは6時40分だった。他のクラスは殆ど終わってしまっ
ていた。やったーと皆で伸びをする。
「たくさん人が入るといいね、お疲れ様!解散ですっ」
宴が笑うと「はーい」という皆の返事。それは前までとは違い、とても明るい、
やる気の見える声ばかりだった。
皆がぞろぞろ帰っていく。宴はまた一人残った。
「凄いや…本当に出来たんだぁ…」
部屋を眺める。暗幕が張り巡らされ、天井から吊り下げられた作り物の蝋燭が蛍
光塗料でぼんやり光っていた。
「本当にお化け出そう…」
「だよな」
「ぎゃっ!」
突然の声に驚いて、宴は身を引く。が、床にあったガムテープにつまづき、こけ
かけた。
「わわっ!わ、わ…」
ぐいっと腕を取られて、転ばずに済んだ。
「悪い、脅かすつもりじゃ無かったんだけど」
耳元で響く、心地よい声。顔を見なくても分かる。
「…近藤くん…」
宴を離すと、賢輔は仕上がった部屋を見上げた。
「すげーよな、お前」
「え?」
「こんなに上手くいったのは、青島が頑張ってみんなまとめたからだろ」
「そんなことないよ」
宴は隣に並ぶ。
「みんなが頑張ろうって思ったからだよ。それに近藤くんが参加しない人を集め
てくれたから…」
「いや…」
静かな時間。暗幕の隙間から漏れる外灯の光。
「なんか久しぶりだね…」
宴が呟く。
「全然話してなかった…」
賢輔が微笑む。
「何?淋しかった?」
「うん…」
「えっ!?」
賢輔が驚いて宴を見た。
「…えっ…あ…」
宴が慌てる。
「ち、違うの!みんなと楽しそうだったなって。ほら、私色々忙しくて一緒に騒
げなかったから…」
「見てたんだ?」
「え…あ…まぁ…」
宴が俯く。くすくす賢輔が笑う。
「俺を?」
「違うってば!みんなのこと見てたの」
賢輔は笑いをなんとか抑える。
「っは、ごめんごめん」
宴が膨れて賢輔を見た。
「青島がそんな赤くなるからさ、面白くてからかっただけだよ」
むっとした顔で宴がそっぽを向く。


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