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いつもの場所で
【青春 恋愛小説】

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いつもの場所で-7

30分遅れて部活に参加した。ばれないようにがむしゃらだった。
心は荒んでいた。自分で終わらせたくせに身勝手な奴・・・。
そのとき辻先輩の様子がいつもと違うことに気がついた。
心ここにあらず。まさしくそれのような。
「こらー!!!秋坂!!ぼーっとするんじゃねぇ!!」
「すいません!!」
なんか違う。なんで辻さん・・・あんなに苦しそうなんだ・・・?


部活が終わったあと、辻先輩に聞いてみた。
そのときは人がいて話しにくそうだったが、2人きりになり、ようやく先輩が話してくれた。
「俺・・・ずっと好きだった子にふられたんだよ・・・。」
「え・・・・?」
まさか・・・。だって先輩・・・玲緒那と・・・・キスしてたのに・・・・?
「俺最低でさ・・・。ふられたのに、呼び出してキスしちまった・・・。完璧に嫌われたよ・・・。」
「先輩が・・・・?なんで・・・・。」
先輩が辛そうな顔で笑った。
「俺には乗り越えられない壁があんの・・・。ぽっと俺の目の前に現れて、絶対に乗り越えられないのが・・・。」
先輩にも壁・・・あんのか・・・・。
混乱してた俺は裏庭でちょっと休むことにして先輩と別れた。
壁ってなんだろう・・・・。とりあえず、先輩と玲緒那が付き合ってなかった。
でも・・・・。終わらせたのはもう戻れないんだよな・・・。
そう思って空を見上げると月がかすんで見えた。
「俺・・・ほんと馬鹿だ・・・」



家に帰り、すぐにベッドに横になった。
今日あったことが目まぐるしく頭の中をぐるぐると回っている。
玲緒那を泣かせてしまったこと、俺が馬鹿すぎて泣かせてしまったこと、後悔してる。
「くそっ・・・・。」
玲緒那の泣きそうな顔が今でも頭から離れない。
『PPPP・・・・PPP・・・・』
携帯電話が鳴って液晶を見ると長谷川 隼の文字。
隼から電話なんて珍しいと思いながら電話に出た。
「もしもし??」
「あ、秋坂??俺俺!」
いつもよりハイテンションな隼の声。さては浅原と一緒か・・・。
「お前今何してんの??」
「俺?今ごろごろしてるけど・・・。」
「そ、今からお前んち行っていい??」
今の時刻は午後8時。今から来るなんて珍しい。
「女が付いてんならいれねーぞ??」
「バーカ、俺だけだよ。ま、行くから!後、泊まるからよろしく!」
『プッ・・・プープープー・・・・』
切られた・・。隼一人も珍しいなぁ・・・。
なんか今日は変だ・・・。


30分後に隼が家に着いた。ホントに一人で、泊まるにしては身軽で。
まぁ、明日は土曜日だ。部活も昼からで余裕がある。
俺の部屋に付き、ゆっくりすると隼が重々しく口を開いた。
「橋本と何かあった??」
「え・・・・?」
どこまでこいつはお見通しなんだろう??
動揺してるのがバレバレだ。俺、意外と嘘つけねぇ性格なのかもなぁ・・・
「橋本はココ最近機嫌悪いし、お前はお前で上の空っていうか、サッカーに当たってる感じでさ。」
こいつどこから俺を見てるんだよ・・・。ストーカーか??
「お前・・・・気持ち悪いほどお見通しだな・・・」
ついうっかり思ってることを口走ってしまった。
「あぁ・・・俺昔から人の思ってること当てんの得意なの。で、何あったの?」
得意ってレベルじゃない・・・と驚愕しつつ、いままであったことを話した。
玲緒那が辻先輩とキスしているのを見たこと。
玲緒那に嘘をついて離れたこと。
辻先輩と玲緒那が付き合っていなかったこと。
自分の思っていることを話したことがあまりなかった俺は、うまく隼に伝えられているか不安だった。
けど、隼は優しく微笑んで肩を叩いた。


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