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いつもの場所で
【青春 恋愛小説】

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いつもの場所で-6

朝目が覚めて、昨日の記憶がなくなっていないことに落胆しつつ、サッカーの朝練に行く準備をした。
まだ、朝の7時、人気は部活やっている奴以外いない。
俺の高校のサッカー部は結構強いらしく、毎年インターハイ出場権を争っているほどらしい。
それもあり、いろんなところから選手を集めていて結構レベルが高かった。
「よしっ!頑張るかっ!!」
久しぶりのスパイクの感触と芝生の感触、そしてボールを蹴る感触が懐かしくて、楽しくて、やっぱりサッカーが大好きなんだって実感した。
「秋坂、お前やっぱうまいなぁ!!」
キャプテンの辻先輩が声をかけてくれる。
「お前なら即レギュラーじゃね??」
エースの渡部先輩も声をかけてくれた。
こういう空気が初めてだったから楽しかった。
ユースチームのときは、みんなが敵だったから。誰かを蹴り落とさなければ上には上がれなかったから。
楽しかった。ただ・・・ただ・・・楽しかった。
でも、その楽しさも朝練後消えてしまった。
見てしまったんだ。玲緒那がキスしてるとこ。
相手は・・・・キャプテンの辻先輩だった。



あれから2週間、俺は部活に明け暮れてた。
あの、裏庭にもいかなかった。玲緒那とも話さなくなった。
ほんとは聞きたかった。辻先輩とどういう関係なのか。
いや、キスしてたんだから付き合っているに決まってるもんな。
告白する前に失恋か・・・・。ますますだせぇ・・・。
部活に行こうとする俺に激痛が走った。
俺の足元には見られたあいつのスクールバック。
ひりひりと痛む右の頬。
凍りつくクラスの空気。
あいつのほうを見ると顔が真っ赤になっていた。
俺はあいつのスクールバックを持つとあいつに手渡し、耳打ちした。
「はなしがあんならいつもの場所で聞くからこいよ。」
そして、おれは歩き出す。辻先輩に遅刻しますとメールを打つ。正直、嬉しかった。
久々にあいつと話せる。それだけで右の頬の痛みが消えていく。
裏庭に着き、ベンチに座る。さすがに段々寒くなってきた。
「なんでよ・・・。なんでこの2週間話してくれなかったの??なんでココには来なかったの!?」
興奮した口調であいつがまくし立てる。
それがうれしくてにやけてしまうのが自分でもわかる。
でも・・・、だめなんだ。あいつには辻先輩がいる。
もう終わりなんだ。もう・・・・。
「俺・・・、好きな子できてさ。そのこのこと大事にしたいからここには来ないし、橋本とも話さない。」
心が軋む。好きなのは玲緒那なのに。でも、玲緒那が辻先輩がすきなら俺は何もいえない。
ただ・・・ただ、あいつ・・・玲緒那の幸せを願うだけ。
「そっか・・・仕方ないね・・・・。」
玲緒那の方を見ると少し涙ぐんでいた。
なんで・・・?なんで泣くんだよ・・・お前には辻先輩がいるじゃないか・・・。
「バイバイ」
心に穴が開いた気がした。
心に風が吹き、ヒューヒューと音を立てる。
終わったんだと自覚した。


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