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Twilight Closse
【青春 恋愛小説】

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Twilight Closse \ 〜強敵=相談者〜-1

Twilight Closse \ 〜強敵=相談者〜
強引に禁煙席に座らされた俺は、ここからの脱出方法を考えていた。
何せ相手はあの西野そのみだ。中学の頃は男子更衣室にまで追いかけてくるほどの執念の持ち主だ。ちょっとやそっとじゃ、撃退はまず無理だろう。
今はちょっと気まずいが、奥山に昼飯を作らなければならない。むしろ、遅れたら更に機嫌を損ねかねない。ガッデム!
「う〜ん…じゃ、ハンバーグプレートで」
いきなり昼飯モードかこいつは。質量の多い飯を注文して、時間を稼ぐ作戦か?
「あんたも何か頼めば?」
どっかで見たな。こう…まるで犯人にカツ丼を頼んでやるような。
「いや、いい。こういう所って、結構高いし…」
俺が飯を頼んでしまえば、必然的に長い間この場にいなければならない。
だが逆に考えるんだジョジョ。俺が頼みさえしなければ、ここからの脱出は楽勝じゃないか?
確信。これには流石の西野も手を出せない。
そう思った。
「ああ。じゃ、奢ってあげる」
何ィィィィィィィィィ?!
まさかそうくるか?!そこまでして俺の話を聞きたいのか?!金まで使って!
何だ?一体何がお前をそこまでさせるのだ?!
「え、いや、いいって。そこまでしなくても…」
「家、貧しいんでしょ?たまには楽して誰かに奢ってもらいなさいって。じゃ、私が決めてあげるから」
いや、いくら本当でも他人の家を貧しいとか言っちゃだめだろ。つか、俺にメニューを選ばせてはくれないのか?
「じゃ、あんたもハンバーグプレート」
俺…和食が好きなんだけど………

「ハンバーグプレートをお持ちしました」
熱そうな湯気と旨そうなソースの匂いを立たせ、その忌まわしき肉塊はやってきた。

知ってるぞ、俺は。そのサイズで450円は安いと思わせておいて、肉の量を玉ネギとおからで水増ししてる事を。
情報源は亮介だが。
「うわ〜。おいしそ〜」
そんな事を見抜けないから、いつも俺に料理対決でコテンパンにされてると言うのに。全く、俺もこいつみたいに好き勝手生きていきたい…
「…じゃ、頂くぞ」
「じゃ、頂きます」
もそもそとハンバーグを食べる俺たち。
「…」
「…ねぇ、平野」
不意に、西野がフォークを止めた。
「どうかしたの?あんた本屋からずっとそんな顔して…どうしたのよ?」
「お前が俺を引っ掻き回す時は、いつもこんな顔をしてるハズだが?」
皮肉たっぷり、俺は奥山に返した。
「ううん。あんたはそんな顔、いつもは絶対しない」
予想外の反撃だった。
「何だか、物凄く悪いことをしたような顔してる」
…珍しく、俺を読んだ。
「何だか、見ていられないよ…あんたのその顔…」
……珍しく、悲しそうな顔をした。
「私にできる事があったら、言いなよ」
………珍しく、俺を心配してくれてるようだ。
……………………………………
何だって?
あの傍若無人、人の痛みを知らない、ただ場を滅茶苦茶に引っ掻き回すことしかできないあの西野そのみ(16)がッ?!
宿敵と公言した相手に手を差し伸べるッ?!
「…」
「何よ。その顔は」
いやいやいやいやいや………
ありえねぇな。ありえねぇよ。
あったとしても、きっと後からとんでもない事をする伏線だって。
「お前…何を狙ってんだ?」
「は?」
怪訝そうな顔で睨まれる。だがすぐにそれが消えた。
「ま、張り合いのない敵じゃ、私はつまらなくて仕方がないのよ。それに、敵に塩を送るのも、案外乙じゃない?」
何が乙なのか分からんが…とりあえず、何も考えてなさそうだ。
それもそうか。こいつは典型的な真っ向サシ派だからな。下手な小細工はしないだろう。…多分。
と言うより、むしろこれは利用してもいいんじゃないか?相手は女。奥山にどう詫びればいいか教えてくれるかもしれない。
「…本当にいいのか?」
「疑り深いわね…良いって言ってんでしょ」


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