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Twilight Closse
【青春 恋愛小説】

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Twilight Closse Z 〜秘密〜-1

Twilight Closse Z 〜秘密〜
平野家の朝は早い。
収入源の親父、平野健治を筆頭に、長男俺、長女鈴の順に見事ぴったり八分毎にずれて起きる。
「おはよー。兄貴ー」
寝起き眼でチョップする鈴。すかさず俺はカウンター。
「死ぬがよい」
「あべし」
流石は我が妹。ノリが良い。
「あれれ?兄貴、朝ッぱらからよそ行き?」
「ん?ああ。友達に飯作ってくれって頼まれてな。今日は昼夜はお前が作れよ」
「え〜」
乗り気じゃねえなこいつ。
「アレだ。彼女でしょ」
ニヤニヤしながら聞いてきた。何だかコイツ、最近親父みたいな発言が多くなってき
たな。
「一応女だが、そんなんじゃねぇよ」
「え…」
鈴はビックリしていた。まぁ、そうだろうな。初めての事だし。
「同じクラス?西野先輩の所?」
「アイツは自炊とかお手の物だろ?ま、俺には劣るがな」
「じゃあ誰?」
何かと食い付いてくる奴だ。顔がビミョーに必死だし。
「同じクラスの引きこもり。自炊できない癖に一人暮らししてる、バカな奴だよ」
それを聞いて満足したのか、鈴は顔を緩めた。
「何だ。いつものお節介か。良かった」
「何か突っ掛かる言い方だな」
俺は掃除用具各種の入った鞄を背負い、
「じゃ、行ってくる」
いつもの朝の様に玄関に出た。
「うん。行ってらっしゃい」
鈴は酷くニコニコしていた。

「そゆわけで、今日は掃除もついでにやっちまおうって訳だ」
相変わらず、奥山宅は凄まじく汚れてる。
[嫌です]
即否定かよ。
[変な物が出てくると恥ずかしいです]
「変な物って何だよ」
奥山は依然として赤かった。
[変な物は変な物です]
これじゃあ禅問答だな。
「あのな奥山。人には確かに見られたくない物が2つや3つはあるさ。でもな」
俺は辺りを見回す。4回来ても変わらないその風景は、家庭内害虫Gがいても不思議じゃない。
ああ、ここはマンションだっけ。
「これは異常だ。前回は流血で済んだが、ひょっとしたら死んでたかも知れないんだぞ?
お前だって…」
[どうでもいいです]
力説してもやる気なく返してきた。
「…頼むよ」
俺は真剣に奥山を見据えた。奴は動揺していた。
「身近な奴が死ぬのは嫌なんだ。頼む。マジで」
奥山は大層ビックリしたことだろう。どけ座なんて。
奥山はオロオロしていた。そしてためらいながらスケブに
[掃除してもいいですよ]
と、了承の意を示してくれた。
この魔窟をどうにかするなら、プライドなんて安いもんだ。
プライドじゃ飯は食えねぇしな。

朝飯(米と味噌汁)を済ませ、鞄から大きなビニール袋を出した。
「とりあえず、まずはこのカップ麺を何とかするぞ」
こくりと首を縦に振る奥山。


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