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Twilight Closse
【青春 恋愛小説】

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Twilight Closse Y 〜動摩擦係数〜-1

Twilight Closse Y 〜動摩擦係数〜
予想通り、奥山は物も見事に直径25センチのニラ玉を3枚も食べた。元が大食らいだし、好物だから無理もないか。ホント。良く食う奴だ。
食べ終わった奥山は、さっき上げたスケブに何かを書き出した。
[ごちそうさまでした]
「お粗末様。旨かったか?」
首を縦に振る奥山。
料理人を気取る様だが、一番嬉しいのはこの瞬間だ。
美味しい、と言われる(またはそんな意思表示をされる)のは凄く嬉しい。毎日作ってやりたくなるね。そいつに。

食器を片付け、再び俺は奥山の前に座った。
[ありがとうございます]
「気にするな。只のお節介だ」
確かに親父から支給された金を崩すのは心が痛むが、仕方がない事だ。ほっといたら、絶対コイツはミイラになるだろう。
料理の経験にもなるし、何より、関わっちまったら最後まで面倒を見なきゃいけないしな。
最後…あるのか?
「それから、敬語。面倒臭いし伝達に時間がかかるから、やめろ」
迷いながらも、こくりと首を縦に振る奥山。
まぁ、今日はこの位かな。
「明日休日だし、朝飯と晩飯作りに来てやるよ。それじゃ…」
いきなりだった。
世界が反転した。
比喩じゃなく、マジでひっくり返った。
後頭部をぶつけ、目に火花が散った。
「つっっっ!!!」
何が起きた?
確か俺は奥山のマンションで帰ろうとした。
今は?ダウンを取られてる。
後頭部が痛い。涙出てきた。ああ、もう、痛 す ぎ。
試しに触ってみると、血が出ている。良かった。後頭部強打で血が出てないなら内出血判定だ。
と、冷静に判断してるが、
「っっっっつ!!!」
涙ながら踞ってる。情けねぇ…
奥山は不意を打たれた魔物の如く、オロオロしている。
「奥山…冷や水…」
苦しみながら言った台詞は通じたらしく、奥山は台所の水道から勢い良く水を出した。濡れたタオルで後頭部を押さえてくれる。
「っつぅ…ありがとな」
俺は自分の足元を確認した。
カップ麺殻の下にカップ麺を覆っていたビニールが落ちてた。
ビニールと床とスチロール。なるほど。最大静止摩擦力は低そうだ。つか、無さそうだ。

明日この部屋を片付けよう。
奥山に玄関まで送られた俺は、密かにそう決心していた。


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