シスコン『第四章』-1
あ、はい、はじめまして。四世春夏っていいます。今日から夏休みなので、今旅行中です。
シスコン『第四章』
「南の島ぁ?」
「そっ、南の島。」
夏休みが始まる前、私は梓と話していた。
「私の伯父さんがね、夏休みに別荘に友達連れておいでって言ってるの。だから、春夏はどう…?」
「行く行く!!絶対行く!!!」
梓は笑った。
「じゃあ、弟さんも連れてきてね。」
「え?」
なんで?秋冬に何の用が………?
「優魅も連れていくの。」
優魅………?
「あ……浜崎優魅!!??」
梓はうなずいた。
浜崎優魅っていえば……秋冬に纏わりつく小娘じゃない。
「いやっ、だから…なんで浜崎優魅がいるからって秋冬を連れていくの?」
梓は『わかってないわねぇ。』と人差し指を振る。
「まぁだ諦めてないのよ、優魅はっ!」
梓と浜崎優魅は、幼馴染みなんだって。だから浜崎優魅の後押しをしようって?
「まぁ………別にいいわ。秋冬を連れてくるだけでいいのね?」
梓はうなずいた。
「あ、弟さんの友達連れてきてもいいよって伝えてね。女と男が三対一じゃあつまらないと思うしね。」
ありゃ、ちゃんと秋冬の性格、理解してるじゃない。
「OK!で、日時は……?」
私は手帳を取り出した。薄いピンクの可愛い手帳だ。
「夏休み初日から二泊三日だよ。」
「………初日ですか。」
「青い空!!青い海!!白い砂浜!!そしてっ!!!」
「「「船酔いした千里!!」」」
私達は南の島にやってきた。
メンバーは、私と梓と浜崎優魅。そして、秋冬に作山に幾間千里だ。
幾間は行きの船で、見事に酔った。
「からかわないでよ………うぷっ。」
吐きそうで吐けない時ほど、辛いのよね。
「あっひゃっひゃ!!冴えないねぇ千里ちゃん!!楽しい旅行でいきなりこれだもんなぁ!!なぁ四世弟っ!!」
品のない笑い声を吐き散らかすのは、作山しかいない。
「まぁそう言うな。」
秋冬は千里をフォローした。秋冬は唐突に優しい一面を見せるのよね。
「さ、着いたわよ。」
梓が指をさした先には………
ものっすごい別荘があった。
「うっひゃぁぁあ〜〜っ!でっっけぇなぁっ!!」
作山が言った。
「私の伯父さんって会社の社長なのっ。」
それ私…初耳なんだけど。
「まぁとにかくレッツラゴーだ。」
作山がスキップしながら別荘の玄関に向かう。ていうかレッツラゴーは古い。