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オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?
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オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?4-2

バイトを終えて予備校に向かう。 
この道が好きだった。 
郊外にあるバイト先から駅前の予備校までの道のりは地味で大した店もない田舎道が続く。 
そこは森本が子供の頃から好きな景色が続いていた。 
今日もバイトのつかれを癒しながら歩く。 

ふと気が付くと目の前に高島の姿が見えた。

勇気を出して声を掛けよう!

と自然と早足になる。 

ドキドキ…… 

高鳴る心臓。 

あと5m…… 

あとちょっとで…… 


不安が足を緩ませる。
でも何て声掛けよう? 

二人の距離が離れてゆく。 
届かなくなってしまう。

あっ……… 


毎日のキャサリンとのレッスンを無駄にしたくない。勇気を燃やす。
なんとかなるさ!ともう一度近づいてみた。 

あと…… 


とその時、高島が立ち止まった。 

反応して森本も立ち止まる。 

高島は何かを見つめているようだ。
そして勢いよく手を振っている。

その視線の先には背の高い男性が高島の方を見つめながら手を振り返している。

彼の名前は知っていた。 
朝田二朗。 
予備校の中ではトップクラスの実力の彼だ。 
森本とは接点がなく話したことはなかった。 

森本は俯いた。 

二人の関係は? 
何で高島さんはあんなにうれしそうなの? 
僕になんて勝てっこないよ。 
ダメだ………

望むだけバカみたいじゃん。 


森本はそっと踵を返した。
高島に悟られないように。 
俯いたままで。 

そして予備校には結局行かずに家路に着いた。 


部屋に戻ると布団の中に潜りこんだ。 
頭の中ではさっきの情景が反芻する。 

森本の今日を示すキーワードを挙げるとしたら 
『朝田二朗』

その一言に尽きてしまう。 
悔しさと情けなさに震えながら、森本は何度もこの思考を停止させようと試みたが…… 
案の定、何度もフラッシュバックして止まなかった。 
ちょうど窓を濡らす降り始めた雨のように。 


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