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オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?
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オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?4-1

恋は闘い。 

そんなことわかっていた。でも…わかりたくなかった。 
逃げたかったのは傷つきたくなかったからだ。 
     森本一。後日談

   
夜眠る前にまだ夢を見ているんじゃないかと森本は時々思う。
キャサリンとの出逢いも毎夜のレッスンも森本にとっては未体験の夢のような一時だったから。 

自分は変われたのか?とよく自分に問い掛けるようになった。 

答えはまだ出ていないようだった。 

いつものように朝がやってこようとしていた。 

森本の新しい1日が始まろうとしていた。 


ジリリリリー 


ジリリリリー 

忙しなく目覚ましが目覚めの時間を喚き散らしている。 
寝起きの悪い森本はモゾモゾしながら布団から顔を出した。 

もう朝か… 

今日はなんだか熱っぽい。バイトの時間までだらだらと過ごしながら身支度を終えると、キャサリンが眠る参考書を見つめた。
「いってきます!」 

もう時間が押してきている。 
慌てて階段を降りた。 

誰か家族以外にいってきますを言えるのってうれしいなと思いながら。 

しかし時は待ってはくれない。 
昨日のレッスンを今日は実践していこう。 
たとえほんの少しでも変わらなきゃ。進まなきゃ。

『キーワード』を掴めかぁ…… 
今日はとにかく聞き耳たててみよう! 
と軽く拳を握った。 

バイトの時間もボンヤリと思い浮かぶのはキャサリンの事ばかり。 
森本は自分の心の変化に気付いてはいなかったのだが…… 

進まない時間と同じく進まない二人の距離が森本の目の前に大きく立ちはだかる。 
それはいわゆる障害物というよりは、単なるコミュニケーション不足からだろう。 
乗り越えられないのは、近付けないのはやはり勇気と行動力が足りないからである。 

森本は窓から光る太陽を睨んだ。 
天気で例えるなら今までの自分は曇り空だろう。 
可もなく不可もなくの器用貧乏、無個性で主張のない、当たり障りのない生き方を好む自分自身に最近は苛立ちさえも感じていた。

どうしたら僕の雲は晴れるのだろう?と太陽を羨みながらもう一度見た。 


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