オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?〜3-2
森本は少しうつむいた。
「弱気になってはダメよ。恋も受験も闘いなの。
勝つ気で行かなきゃ勝てないわヨ。
そのためにはまず情報収集ネ!」
とまた指を天井に突き出した。
その度に悩ましい谷間がユラユラと揺れる。
思わず見とれそうになった自分の情けない視線を制御しながら、森本は情報収集の方法を考えていた。
話し掛けない限りはこれからの関係に期待が持てない。
でもきっかけがなさすぎる。
勇気もそんなにあるわけじゃないし。
どうしたら話スムーズにできるの?
森本はキャサリンに聞いてみた。
「そんなの簡単ヨ!
毎日なんでもいいから声をかけなさい。
最初は挨拶だけでもかまわないわ。
少しずつ質問していけばいいのヨ。
好きな映画の話なんかよりも、まずは勉強の話でもしたら?
キミも色々苦労しているんでしょ?」
勉強の話題かぁ。
堅すぎるけど導入のスタートラインにはちょうどいいかもなぁ。
「あくまでも自然にネ。あせっちゃダメ。
男友達と話をする時のように身構えずにシンプルにね。」
キャサリンは親身になってアドバイスしてくれた。
さっそく明日やってみよう。
勇気出さなきゃ何も始まらないからな。
森本は拳を握り締めた。
「あら…もう時間ネ。
今夜も逢えてうれしかったわヨン。」
と言い残してキャサリンはブラウン管の中へ戻ってしまった。
あっという間の15分間。
15分過ぎてしまったらキャサリンはどうなるんだろう?
森本の頭の中はキャサリンでいっぱいだった。
それは恋心とも少し違う、憧れに近い感情だった。
森本は自分の分のおせんべいを頬張りながら明日の自分を想像してみた。
夜は更けていく。
森本は知らないうちにずいぶんと前向きに考えられるようになっていった。
明日はイイコトあるさ!
と呟いてから電気を消してベットに潜り込んだ。
明日も新しい森本の内部での闘いや葛藤が待ち受けているだろう。
がんばれ!森本。
静かに夜は進んでいった。