僕とお姉様〜始まり〜-4
家では明け方にようやく帰宅した僕を心配して大騒ぎしてる2人がいた。
「強!」
「強君!」
父さんと僕の大好きな女の子、ひばりちゃん。
「どこに行ってたんだ!連絡もしないで!大体その人は誰だ!?」
「ごめんね、強君!やっぱりあたしがお嫁に来たら嫌だよね、でもあたし16で結婚するのがずっと夢で…って言うかその人誰!?」
2人は同時に言いたい事を好きに話して最終的に同じ話題になった。
「酔っ払いを介抱してたの。この人寝かせて俺は風呂入るから、…話はまた後で」
階段を上がって自分の部屋に逃げた。
僕は2人を見れなかった。尊敬する父親と大好きな女の子が夫婦になった現実は簡単に受け入れられそうにない。
背中で爆睡するお姉様をベッドに寝かせて僕は秋雨に冷やされた体を暖めるべく風呂場に向かった。
きっとお姉様は起きたら今日の事を忘れているだろう。できれば忘れて欲しいし。
頼もしい男になりたくて人前では必ず自分を俺と呼んでいたのに、精神的に不安定だったとは言え見知らぬ人の前で僕と言いその上泣いてしまった。情けない。
たまたま知り合った人との事よりこれからの自分の心配をしよう。
でもその前に少しだけ眠ろう。
客用の布団を引っ張り出し、自分の部屋の床にごろんと寝ころんだ。
ぐうぐう眠るその人の事をこの時の僕は全く気にしてなかった。起きたら帰ると思っていたし。
でもこれが僕とお姉様の出会いで始まりだった。