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ピアノ
【同性愛♂ 官能小説】

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ピアノ-3

「?」
訳が分からない俺に先生が一言告げた。
「行くぞ」
「何処に」
「…音楽室?」
「なんで!?てっきり野中に説教くらうと思ってたのに!」
昨日、音楽室にまた来るとは言ったけどさ、高橋に説教なんて…

「野中先生は急な出張。で、空いてる俺が代わり頼まれたってわけ」

マジかよ…。
俺は肩を落としてがっくりうな垂れた。

絶対嫌味ばっか言われる!それに、説教の後じゃピアノ弾いてくんないよなぁ…


でも、音楽室に入ると先生は意外な行動をとった。
ピアノを弾きだしたのだ。

さっぱり意味が分からない。
分からないけど…一瞬で先生のピアノに引き込まれた。

…カノンだ。

色んな思いも、先生が出す音によって吹き飛んでしまった。
ただ、黙って先生が弾くカノンを聴いていた。


…やっぱ先生はずるい。

「…どうする?」
カノンを弾き終えた先生がぶっきらぼうに問いかけてきた。

「どうする?って何が」

先生はいつもの無愛想な顔に戻ってる。…ピアノ弾いてる時はいい顔してんのに。

「ここでお前をすぐ帰したら先生方に怪しまれる。何すれば良い?」

あっけにとられた。叱るのに連れて来たんじゃないのかよ!?
「何って!説教すんじゃねーの?」
言ってからハッとした。
自分から催促してどうすんだ!
「説教…ね」

馬鹿だ俺…

「正直どうでもいいな」

へ?
「俺はお前の担任でも無ければ、野中先生みたいな熱心な先生でもないからな。高校は義務教育じゃないんだから本人の判断に任せればいいって思ってる。だから道外した事じゃない限り説教はしない」

…変な奴。

「…で、何する?」
「何するってー…一つしかないでしょ」
先生が、『分かってたよ』とでも言いたげな笑みを浮かべる。分かってんなら聞くなよ…。本当、根性曲がってる。

「でも、先生のピアノ聴きたいってのもあるけどー…今日は先生の話、聞きたいな」

先生の笑顔が崩れた。こっちは予想してなかっただろうな。
「俺の話なんか、無い」
ピシャリと言い竦められてしまった。
「別に、無理にとは言わないけどさ。いいじゃん、ちょっとくらい」
そう言うと、困った顔をして先生はぼそっと言った。
「自分の事話すのは、苦手なんだよ…」

昨日の照れた笑顔。今の困った顔。見るとドキッとしてしまう。
先生のこんな表情、見慣れてないせいだ。
何だか胸がもやもやする。

その気持ちを払拭したくって、急かすように言葉早に質問した。


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