投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

【同性愛♂ 官能小説】

猫の最初へ 猫 4 猫 6 猫の最後へ

-5

「お前、死んだんじゃ…」
「なに縁起でもないこと言うんですかっ!生きてますよ。お化けじゃないですよ、ほら」
俺の手を自分の顔にやる。
ちゃんと感触がある。
生きてる…

「なんでバイト…」
「あ、祖母の葬式と試験だったんで、休み貰ったんです。言いませんでしたっけ?」
「言ってねえよ…。あのクソ店長っ。紛らわしい言い方しやがって…」
「…?あの…そろそろ離してくれないと、また襲いそうなんですけど…」

ふっと笑いがこぼれる。
調子狂うなあ…
「いいよ?」
そう言ってキスをした。
「驚かそうと思って、暗くして待ってたんですけど…都合良かったですね」
「そうだな…」
「葵」
「はい?」
「話、ちょっと中止な」
目の前にある葵の唇。
そこに口を這わせ言葉を塞いだ。
前に俺がされたように、激しく。激しく。
葵もそれに応えてくる。
眩暈がしそうな程の感覚に溺れていく。
跡が消えてしまった首筋に、再び赤い跡が残る。
時折、葵が洩らす嬌声に俺の思考は支配された。
「はあッ…何だか、恐い…な…」
葵は、くぐもった声で途切れ途切れにそう呟いた。
全身を駆け巡る甘い感覚に翻弄され、その言葉の真理は分からなかった。
いつの間にか俺は葵に押し倒された格好になっていた。
その体勢のまま、葵の舌が、俺の体の下方に移動する。下肢から背中に痺れるような感覚が伝わった。
「んっ…」
思わず声が出てしまう。
「…っその声…もっと聞きたいな…」
昇り詰める一歩手前で葵の舌の動きが止まる。
焦らされて、頭がおかしくなりそうだ。
「んっ…止めんなよ…」
「じゃあ…、ちゃんと言葉で言ってください」
「はぁ…っ、葵が…欲し…いッ」
その言葉を出すと同時に突き上げられ、最期を迎えた。

その後、俺は眠ってしまった。


また夢を見た。
前と同じく、葵は黒猫に姿を変える。でも、もう恐くなかった。
いや、まだ少し恐い。けれど、どこか安心できた。
黒猫は、葵は、鳴かなかった。

目を開けると暗かった。きっと、まだ夜中なのだろう。
ふと、葵がこっちを見ていた。
目が合うと、くすっと笑った。
「大分、寝てましたね。疲れさせたかな…」
「夢…見た。お前が猫になる夢…」
葵は、一瞬意表を突かれた顔をすると、妖しく微笑み『にゃあお』と鳴いた。
そして、俺の首筋をなめ上げた。

「なあ、お前俺のこと好きか?」
「好きです」
「じゃあ、愛してる?」
「…内緒です」


猫の最初へ 猫 4 猫 6 猫の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前