投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Story
【推理 推理小説】

Storyの最初へ Story 8 Story 10 Storyの最後へ

2nd_Story〜月灯りと2本の繋がる手〜-1

0.始まり

むわっとした部屋の窓を開ければ、吹き込んでくる風が体を冷やしてくれる。そんな、まだ夏の残る9月━━

「おはよう、里紅」
「おはぁぁぁよう」
教室に入った途端に坂本白<さかもと あきら・男>に挨拶された里紅だったが、朝に弱いために欠伸まじりに返した。今にも眠りそうな雰囲気をかもし出している。が、その雰囲気を無視して白は里紅に話しかける。
「今日僕の誕生日会があるんだけど、里紅は来るよね?」
「ふあぁぁ…、行くよ」
何か話す度に、欠伸をしている。余程眠いのだろう。
「なんで?毎年行ってるじゃん」
眠いは眠いが、一応頭は働いている。
「いやぁ、それでさぁ…」
「ん?」
「稲荷さんも連れて来てくれると嬉しいんだけど…」
「…黄依?良いけど……何で?」
たかがそんな事…とは口に出さない(里紅なりの思い遣り)が、気になることは聞いてしまう(里紅的には無意識)里紅であった。
「それがさぁ、絵里が里紅の彼女を見たいって言い出してさ…」
「ん〜、わかったぁぁあぁあ〜」
「えっ!わかったって、お前らって付き合ってたの!?」
目を見開き驚く白。
「んなわけないじゃん…」
「あ、そう…」
呆れた顔で里紅を見るも、当の里紅は既に寝る体勢に入っていた。


里紅が白の誕生日会に誘われたのは、今年で3度目だった。中学3年の始めに友達になり、その年から今年まで、2人のつきあいは続いている。
しかし、黄依が白の誕生日会に誘われたのは今年が初めてであったし、仮にでも里紅の彼女になったことも初めてだった。


「へぇー、なかなか凄いじゃん」
「だろ?」
坂本家を目の前にして、黄依が呟く。それは家と言うより豪邸であり、この地区1番の大きさを誇っているので、この地区の自慢の一つでもある。里紅は毎年この豪邸を見る度に、お手伝いさんが何人いるのか気になってはいたが、まぁ大した問題ではない。
里紅と黄依の2人は異様な存在感を出している玄関の、異様な形をしているドアを開け、中に入っていった。


1.沢山

「やぁ、良く来たね」
玄関で白に出迎えられた里紅達は、談話室へと繋がっている長い長い廊下を白の後ろについて渡る。その途中黄依が里紅に聞いた。
「ねぇ、こいつ何者?」
「こいつって?白のことか?」
「他に誰がいんの?」
黄依は里紅を睨みながら話す。もっとも、黄依の方が10?程背が低いので少し見上げる形になっている。
「そんな睨むなよ…」
目をそらし答える里紅。
「白だろ?…親父が会社をやってんだよ」
「会社?」
「あぁ、テラ・スタジアムって言うんだけど…、そうだよな、白?」
里紅に目を向けられた白がうんと答えた。
「へぇー、道理で…」
キョロキョロと周りを見回している黄依が呟く。

テラスタジアムとは白の父親が設立したゲーム製作会社であり、ゲームシェアの約40%を担っている会社である。ゲーム内容は、テレビゲームからパソコンゲームまでありとあらゆるものを扱っている。年間数億円を稼ぐなんて容易いことなのだ。つまり、坂本家は相当の金持ちなのである。


Storyの最初へ Story 8 Story 10 Storyの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前