投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Story
【推理 推理小説】

Storyの最初へ Story 13 Story 15 Storyの最後へ

2nd_Story〜月灯りと2本の繋がる手〜-6

5.全てを純白に

白の誕生日、及び絵里が腹を刺される事件があった1週間後。
「わざわざ来てくれたんだね。ありがとう」
病院のベッドに体を起こして寝ている絵里が白に笑いかける。
「当たり前だろ?」
白も微笑み返す。
「だって僕は絵里の「彼氏だもん」」
白と絵里の声が重なり、アハハ、と絵里は笑った。元々静かな一人部屋なので、その笑い声はよく響いた。
「良かった。思ったより元気そうで」
「そう…でもないよ…」
さっきのは演技だから…
「ちょっと…話があるんだ…」
「…話?」
ベッドの横の椅子に座りこむ白。絵里は布団を抱き締めている。
「うん…ずっと悩んでた…私が、なんか暗くなる時があるって白くんから聞いた時から…私はそんな事全然知らなくて…でも、やっと分かった…私、二重人格だったんだ…」
泣きそうな顔で笑おうとする絵里を見て、白は思わず絵里の手を握った。
「白…くん?」
それは、紙のように危険な感情。糸のように拙い感情。
「…僕がずっと…見守ってあげる」
「え?」
「実は知ってた。絵里が二重人格だって…一週間前、里紅が教えてくれた。僕は、それでも、ずっと…」
「…それってプロポーズ?」
「…かも」
院内放送が、無機質で有機質な声で面会時間の終了を告げる。
窓からさしこむ満月の明かりが、2人の繋いでいる手をずっと照らしていた。


Storyの最初へ Story 13 Story 15 Storyの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前