シスコン『第一章』-2
「私と一緒に勉強して……学年上位を見事にゲット!!!題して『ワックワク?可愛いお姉ちゃんと学力アップ大作戦』!!!」
「黙ってろ学力底辺ランナー。」
秋冬がすかさず毒を吐く。
実は春夏、成績は悪いのだ。一年生は約二百人いるのだが、順位は百九十番代を走っている。
「だいたい可愛いって自分でよく言うな。」
秋冬のその言葉に、澄が笑う。
「オレは四世姉は可愛いと思うぜ?知らねぇの?学校でも人気あるんだぜ?………ルックスだけなら。」
春夏が後ろから澄の首を掴んだ。
「ルックスだけ……?どういう意味かしら………?」
澄はもがきながら答える。
「ほらっ、こういう暴力的な一面が、みんなを怖がらせて………影じゃあ『破壊神』なんて言われてるじゃないかブラハァッ!!!」
澄が春夏に片手で投げ飛ばされた。
「少し黙ってなさい。美しい姉弟の会話を邪魔する気?」
「姉貴が最初に邪魔したんだろ?」
春夏が秋冬を睨む。秋冬は鼻で笑う。
「姉貴と勉強したら馬鹿が感染る(うつる)。自分で勉強するよ。」
「私は病原菌扱いですか?」
春夏が握り拳を振り上げた。が、その瞬間……………
『ドンッ』
春夏が突き飛ばされた。春夏は転ぶ。
「秋冬君〜!!!」
秋冬の前に、一人の女生徒がきた。
「学校にきてくれたのね!?」
秋冬は目の前で立っている人を見上げる。
「………?どなた様ですか?」
澄が女生徒を指差す。春夏はようやく立ち上がった。
「あ………、あんた……。」
「だっ…誰!?この女誰よ!?」
春夏が澄の胸ぐらを掴みあげ、ブンブンと揺らす。
「私は一年四組の浜崎優魅(はまさきゆうみ)!はじめまして!!」
秋冬は言葉を失っていた。
「私と一緒に勉強しない?私一応学年十二位よ?」
その言葉に、春夏が反応した。
「学年十二位!!??負けた…………。」
「百九十番代が何言ってんの?」
澄が春夏に言った。
「浜崎さん?悪いんですけど………、」
優魅は首をプルプルと振った。
「大丈夫っ。悪いようにはならないわよ?」
優魅はずぃっと秋冬に顔を近付けた。
「あ……はぁ…じゃあ……お言葉に甘えて………。」
秋冬はうなずいてしまった。春夏は澄をシバき回していて、それに気付いていない。
「ただいま………。」
秋冬は玄関の扉を開く。奥からバタバタと足音がした。
「おかえりなさぃっ……て…誰?隣りの可愛い子。」
現れたのは母親である。そして、隣りにいるのは優魅だ。
「こんにちは!浜崎優魅です。」
優魅は一礼した。
「まぁっ!秋冬が女の子連れてくるなんて。世も末ねぇ。で、春夏はどうしたの?」
秋冬は靴を脱いだ。
「さぁな。さ、浜崎さん、あがって?」
「お邪魔しまーす。」
二人は二階の秋冬の部屋に向かった。