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School days
【学園物 官能小説】

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School days-1

「駄目だ駄目だ!腰落ち過ぎだぞ」
叶実はマットの上に転がり、顔をしかめた。
声の主は陸上部の顧問、麻生瞬時。叶実の担任でもある25歳の新米教師だ。
生徒にも人気があり、学生時代は高跳びでインターハイ入賞をしているという凄い人だが、叶実は気に入らない先生だった。
叶実も高跳び選手なので良いコーチになること間違いなしなのだが…
(くっそ〜…今にぎゃふんと言わしてやるんだから)
叶実は背を向けた麻生に思い切り舌を出した。


翌日のこと。叶実は親友の早弥と連れ立ってグランドへ出た。今から体育なのである。
「今日はフォークダンスの練習だってね」
「みたいねぇ。10月の学園祭で全校で踊るためでしょ?あーあ…」
早弥は憂鬱そうに空を見上げた。
「まあまあ。あ、ほら、集合がかかってる。いこ?」
二人は集合場所へと走って行った。

体育の先生の説明が一通り終わった後、曲が流れ始める。オグラホマミキサー。フォークダンスの定番曲だ。生徒達は渋々手を取り合い踊り始める。
みなフォークダンスは怠いとか面白くないと言うが、叶実は好きだった。ダンス自体が好きなのである。だから楽しかった。その時が来るまでは。
「お、やってるな」
落ち着いた声。みんなを惹き付ける。
「どれ、俺もいっちょ踊るかな」
男子生徒の歓声、女子生徒の黄色い声が辺りに響き渡る。腕まくりをし、声の主、麻生は輪へと割り込んできた。叶実に差し出される手。
「はい、お姫様」
叶実はうっと後退りした。
(何でよりによってあたしからなのーっ!?)
叶実の心の声も知らずに麻生は言う。
「ほら、俺にも練習させろって」
仕方なしに叶実はその手をとった。さっきまでの楽しさはどこへやら…。
「懐かしいなー」
先生の声。
(今すぐこのまま背負い投げしたいなー)
叶実の心の声。
ターン、お辞儀、やっとパートナーチェンジだ。
叶実がほっと肩を緩めた時だった。
「お前、笑ってた方が可愛いぞ?」
手の離し際に麻生が囁く。
(なんだそれ!余計なお世話よっ)

「叶実ちゃん、どしたの?」
今は部活の時間だ。あまりにもムスッとしていたので部員が声をかけたのである。
「ちょっとね…」
叶実の声までもがムスッとしていた。
「みんな調子はどうだー?」
現れた麻生。叶実以外の部員はみな笑顔で迎える。それには麻生も気付いていた。今回だけではなく、いつも彼女は自分の前では仏頂面のことを。
(笑顔を見た時は驚いたっけ…ま、俺に向けてじゃなかったけど)
スパイクを履く彼女を見つめ、麻生は思う。こんな風に接されるのは初めてだった。
麻生は学生の頃から男女に人気があった。いつでも周りは笑顔で自分を見ていてくれていた。なのに叶実は違う。彼が気にしてしまうのも無理なかった。
(俺なんかしたのかなー…)

部活後。時計は7時を既に回っている。だが叶実はまだ校内にいた。
「あれー、ここに入れたと思ったのに…」
探し物をしているのだ。
「こっちだっけ?んー…あっ、見っけ、数学の教科書〜」
叶実はホッと胸を撫で下ろす。今日は宿題が出たのだ。ちなみに教科担当は担任の麻生である。
(早く帰ろうっと)
秋の夕暮れは早い。もう外は真っ暗だった。叶実は小走りで教室を後にする。
 ―タンタンタン―
廊下に響く自分の足音。それにすら恐怖を覚える。
階段を下り終えた。
(あとは突き当たりを左折して、直線コースね)
叶実は勢いつけて角を曲がろうとした。が、視界に黒い影が入り込む。
血の気がサァッとひくのが分かった。
「キャー!」
叶実は尻餅をついて倒れ込み、悲鳴をあげた。
「なんて声出すんだよ…」
聞き慣れた声。恐る恐る顔を上げた叶実の視界に入ったのは、怪訝な顔をした麻生だった。
「せん…せぇ…」
安堵感と一緒に恥ずかしさが押し寄せてくる。
(馬鹿だ、あたし〜!なんで麻生にキャーとか怖がってんのよ…)
「おい、大丈夫か」
叶実が動かないので、麻生が屈み、聞く。頷いて叶実は立ち上がる。
「帰ろうかと思ったら俺の教室に電気点いてたから。お前が最後?」
叶実はまた頷く。
「そうか。お前帰りは電車だったな、駅まで送ろうか?」
叶実の心の中はムンクの叫び状態だった。
「いっ、いや、いいです」
「でも暗いし、危ない…」
「平気です!」
叶実はそう言い切ると、麻生を残して玄関へと走って行った。
麻生は立ち尽くす。
「やっぱ俺、なんかしたのかな…」


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