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School days
【学園物 官能小説】

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School days-2

(あたしに構わないでよ、もうっ)
叶実は膨れ面で暗闇を歩いていた。学校から駅までは歩いて15分程だが、その道には古びた外灯がぽつん、ぽつんと並んでいるだけで、とても暗い。麻生が心配したのも無理は無かった。しかも民家は所々にしかなく、たんぼが続いている。
(やっぱ送ってもらえばよかったかなぁ…)
不意に叶実は思い、我に返る。
(やだ、何思ってるのよ)
そう思ってしまった自分にも腹が立つ。叶実はその怒りを吐き出すように溜め息をついた。
「おんやぁ?お嬢さん、一人ですかい?」
突然の声に、叶実は飛び上がりそうになる程驚いた。見ると二十後半くらいの、遊び人風の人が立っていた。彼はニヤニヤ笑いながら叶実に近付く。
「暗いと危ないよぉ?あっちに俺の車あるから乗ってこうよ」
「いいです、結構ですから」
叶実は早足で彼から離れようとした。
「待ってよ〜、ほら、ね?行こうよ」
腕をぎゅっと掴まれ、引き寄せられる。叶実は抵抗をするも、男性の力にかなうはずはない。
「や…離して!嫌、誰か、誰か助けて!!」
「おとなしくしろよ!ほら、来い!」
叶実はズルズル引きずられて行く。
(ああ、やっぱり麻生に送って貰えばよかった…っ)
叶実の頬に涙が伝う。

「おい、何やってるんだ!」
強い声。その直後、叶実は男の腕から引き離され、別の人の胸に抱かれる。
「俺の生徒に何か用か」
叶実は驚いて見上げた。
「麻生…」
ふっと麻生は笑い、また厳しい顔をして男を見た。
「俺の生徒に何か用かと聞いているんだ」
男は舌打ちして後退りした後一気に走り去って行った。
叶実は麻生の服を握りしめ、俯いていた。
「おい、平気か」
ニ、三度小さく頷くと、叶実はギュッと麻生にしがみつく。
「ありがと…」
「だから送るって言っただろ。怖かったか?」
頷く叶実。珍しく素直な彼女に、麻生は驚く。
「…車、乗ってくか?」
また叶実は頷く。そして彼女は身を離し、麻生を見上げる。
「麻生、ありがとぉ…」
目を見張る。彼女の表情はにはいつもの凛とした様子はなく、ただのあどけない少女に見えたのだ。
(いつも強張った表情しか見てないからな、驚くのも無理ないよな)
麻生は自分に言い聞かせるように思う。
「行くぞ、乗れ」
二人は麻生の車に乗り込む。麻生は助手席に乗った叶実に聞く。
「駅まででいいか?家まで送ろうか」
「麻生が迷惑じゃなければ…」
叶実は視線を合わさずに言う。麻生は苦笑した。
「麻生って、お前な、呼び捨ては止めてくれよ〜。一応先生だぞ」
あっ、という顔をして叶実が麻生を見る。
「ごめんなさい、なんか頭回らなくって…」
「今後禁止な」
麻生は笑って叶実の頭を軽く叩いた。


翌日から叶実の態度が変わった。まだぎこちなくはあるが、麻生に向ける表情の数が増えたのだ。親友の早弥ですらびっくりだ。
「どういう風の吹き回しなわけ?」

部活の時間がやってくる。
「中原、調子いいな」
叶実にかかる部長の声。
「うん、まね」
叶実は肩をすくめた。
(やなことが無いっていいなぁ。心だけじゃなくて体も軽くなった気がする)
「今日の調子はどうだ?」
麻生の声。部長が麻生に部員の様子を告げる。
「特に新しく体に不調のあるものは居ません。部員も全員来ています。ただ…」
言葉を詰まらせた部長がちらと叶実に目を向け、ニヤリと笑う。
「中原がえらく調子いいんで、ビシバシしごいてやってください」
「えっ、ちょと!?八嶋っ」
叶実の裏返った声。
「お、そうか。じゃあ立てなくなる位にしごいてやろうか」
麻生も意地悪く笑う。
「えぇ…うそぉ…」
叶実の悲痛な叫びをよそに、厳しい練習が始まった。

「フォーム崩れてるぞ!はい、あと五本!」
200?を走る叶実に声をかける麻生。ストップウオッチを手に走りを見守る。
(今日のあいつは素直だな。いや、今までが堅すぎたのか…)
麻生はふと心に思う。そして自分でも知らずに瞳は優しくなっていた。


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