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迷惑メール
【ミステリー その他小説】

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迷惑メール-4

  「で?メールって?どう思うってやつ?」携帯のメール画面を開いて、長谷川京子に見せた。長谷川京子は、黙って携帯を俺に返した。そのリアクションから、長谷川京子の“メール”とは俺の“メール”とは違うものだということをさとった。「そのメールは、よくわからないけど、その姉さんはどうして死んだのか知ってる?」京子の声は、本当に小さくイライラした。だが、今はそんなことを言ってるときではない。とりあえず我慢した。「自殺だろ?記事にあった。」昨日読んだ新聞を頭に思い浮かべた。あの無表情な不気味な先輩も浮かび上がった。「うん、新聞にはそう載ってるんだけど、実は自殺じゃないと思うの。」長谷川京子が意味不明なことを言い出した。だが、なぜか気になった。「なんでそんなことわかるんだよ?妄想か?」「ううん、実は姉さんが死ぬ前にこんなメールが来てるの。」長谷川京子は、自分の携帯を俺にわたした。そこにはこう書かれていた。

  From:冴子姉

   「ヤッホー(ノ^∇^)ノ、京子まだおきてるー?昨日はご飯持ってきてくれてアリガト♪(*'-^)-☆パチン 今日もまだ帰らないよ!お父さんから直接来るまで帰ってやらないんだから!(○`ε´○)プンプン!!それは、そうと京子?うまく言ってる?あと前髪あげた?服買った?あんたはあたしの妹なんだから自信持ちなさいよ!p(´∇`)q ファイトォ~♪じゃあ、明日もご飯よろしく!お金なくなっちゃったからさ(-_-;)でも帰れないからさ!(*・.・)ノ ヨロシクニャン・:*:・゜'★.。・:*:・゜'☆♪
     マタネッ(^ー^)ノ~~Bye-Bye!        dear 京子           

いつもの先輩がそこにいた。俺は、メールを読みきると長谷川京子の方を見た。「姉さん、進路のことで両親と揉めてたの。で、5日前から家出してたの。行方不明ってことになってるけど実はそんなことなくて、はじめの3日間は彼氏さんのとこにいたの。でも、追い出されちゃってホテルで暮らしてたの。だから、私がお金とかご飯こっそり届けにいってたの。明日もよろしくって言ってるのに、自殺するなんておかしい。それに、姉さんは相手に負けを認めたくないから死ぬなんて絶対しない人だもの。」この長谷川の意見には俺も同感だった。先輩は良く知っている。確かに不自然だ。だが、そんなこと今の俺にはどうでもよかった。「俺もそう思うけど、俺はそんなことしったこっちゃない。今は、俺自身の問題の方が大事なんだよ。他に話すことがないなら帰ってくれ。」、長谷川は何か言いたそうだったが、無視して無理やり帰した。
  その日は、そのまま不貞寝していた。
ティロリラーパラリルラー♪ティロリラーパラリルラー♪ティロリラーパラリルラー♪
寝ている間、何度もメール着信音がなった。いつものことだ。迷惑メールは、寝ている間も容赦ない。
ティロリラーパラリルラー♪いい加減に眼を覚まし、携帯をみた。
 
   「逆デリヘル募集中! 月収100万以上は確実です!いますぐ登録!」

今ほど、迷惑メールをありがたいと思ったことはない。いや、迷惑メールをありがたいと思うほど追い込まれていた、が正しい表現かもしれない。

ティロリラーパラリルラー♪携帯をみた。久々に携帯のメールを開いた。魅力的なメールだったからだ。
  
  From:嵯峨野
   
    「今日は無視してごめんな。俺も怖くてよ。先輩、自殺だってな。しかも車で飛び込みなにがあったんだろうな                                    
返信した。

    「今日、長谷川京子と話したよ。先輩、どうやら自殺じゃないみたいなんだ。先輩、親と喧嘩してて家出してて、その途中で投げ出すなんて先輩らしくないだろ。」
ティロリラーパラリルラー♪

  From:嵯峨野

    「そうだな。先輩らしくない。明日、長谷川京子と話してみないか。お前にメールの件も含めてさ。何かしってるかもしれないだろ。           


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