迷惑メール-2
「どーも、長谷川冴子です。(*゜ー゜)v携帯かえましたよー。(^○^)携帯にメールアドレス登録しなおすから空メールおくってちょ、ヨロシク( ゜ー゜)/゜*゛:¨*;.・';゛:..・☆
saeko-hasegawa.lovely-world@…ne.jp
助かった。先輩は携帯を変えたようだ。これでいい言い訳が使える。
「先輩、携帯変えたんですか?それでか(^^;;。昨日貰ったメール、先輩の名前だったけど携帯のアドレスがぜんぜん違うから消しちゃったんすよ。携帯変えたんならそういって下さいよー。(-o-;。わるいんすけど、もっかい送ってもらえないすか?
完璧だ。先輩にも否があるのだ。いくらでも言い返せる。自分に否があるときは素直に認める先輩のことだから、ペナルティは間違いなくないだろう。「よかった、よかった。」これであの、長谷川京子とも絡む必要はないし、罰金も払わなくていい。俺は安心して、眠りについた。
学校についた俺は、さっそく嵯峨野に昨日のことを話した。
「…ってなわけで一安心だよ。よかったよかった。」、俺は100万ドルのスマイルを見せてやった。「そっかー、よかったな。」というセリフを待っていたのだが、嵯峨野の口から出た言葉はまったく違っていた。「あれ?俺には先輩からメール来てないぞ。」「え?」俺は、びっくりした。先輩は、友達や後輩、先輩との関係をいつも大事にする人だ。嵯峨野は、俺と同じテニス部で先輩には比較的気に入られていた。「お前、あれじゃね?先輩に嫌われたんじゃね?」考えにくいことだがそれしか思いつかなかった。「そうかなー?それはそれでかなりショックだけどな。」嵯峨野は、先輩と交友関係にあった友達に聞いてくると言って教室を出て行った。俺は、ぼんやりと天井を眺めていると、視線が気になって眼をおろした。長谷川京子が、こっちをじっと見ていたのだ。「なんだよ!こっちみんなよ!」長谷川京子は、ビクッとして、体を反転させた。「ったく気持ちわりいやろうだな。」再び視線を天井に向けると嵯峨野の顔が目の前に現れた。「どうだったよ。」俺は、興味半分で聞いてみた。「やっぱりだれも届いてないってよ。どういうことだろうな?」「わかんね、理由聞いてみるわ。」嵯峨野は、俺にたのむといって席に戻った。どういうことだ?さっぱりわからなかった。
その日の夜、俺は先輩にメールを送った。
「今日学校で他のやつに先輩の話したんすけどみんなメール貰ってないっていってるんすけどなんかあったんすか?
しばらくして、メールが帰ってきた。
「あの、いきなりで悪いんだけど。あなた、私のことどう思ってる?
本当にいきなりだった。話の趣旨がまったくかみ合っていない。まったく謎だった。意味がわからない、先輩なにかあったのかな?俺はメールを返信した。
「どう思ってるってどういう意味っすか?先輩何かあったんすか?」
この日は、それ以来メールは返ってこなかった。
次の日、学校に登校すると嵯峨野が青ざめた顔でこっちを見ていた。そして、そろそろと俺の方に歩いてきた。
「ちょっとお前、先輩からメール来たってマジか?」「ああ、昨日も来たけどどうかしたのか?」嵯峨野の顔はひきつっていた。「ちょっと、そのメール見てくれるか?」「ああ、いいよ。」俺は、携帯を差し出した。嵯峨野は、まるで何かにおびえるように携帯を手に取りメールを見た。嵯峨野は、携帯を俺に返し、かわりに新聞を俺に差し出した。「なんだよ。これ?」「いいから読め。」
その記事には、見慣れた写真と共にこうかかれてあった。
「行方不明女子大生、柏原ダムにて死体で発見」
「ドッキリか?先輩に頼まれたのか?」笑いながら嵯峨野の方を見た。嵯峨野は何の反応もみせなかった。「気をつけろよ。」嵯峨野はこう言ってその日は学校を早退してしまった。「冗談じゃねえのかよ。」俺は、その記事をボーっと見つめていた。写真の先輩は、無表情で、不気味だった。