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ゴロとボクら。
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ゴロとボクら。-1

突然ネコを預かることになった。 

初秋の午後の岡谷市で。 
ネコは生後1ヶ月の雄ネコで名前は『ゴロ』

ゴロという名前はゴロゴロとよく喉を気持ち良さそうに鳴らすからだそうだ。 
ともあれ小さなカゴの中に入ったゴロを車の助手席に乗せて車を我が家に向け走りださせた。 

車内はしばらくの間、静寂に包まれていた。 
「寒いなぁ」とエアコンを付けた。 
音楽は大黒摩季の歌声が
少量のボリュームで流れていた。 

しかし… 
しばらくすると 

「ミャアミャア」
とゴロはこの狭いカゴから出してくれて騒ぎだした。 
「ゴロちゃん!もうちょいで着くから我慢してね。いい子だ!」
となだめながら峠を走る。 
峠も下りかけた頃、異変が起きた。 

カゴが開いとる〜!! 

ゴロは見事カゴから脱走してしまった。 

車を停めるスペースもなく、ゴロを片手で抱き寄せて膝の上に置いた。 

ゴロは今まで飼い主の家から外へ出たことがなかった。 
世界を知らなかった。 
狭い家という空間が彼の世界の全てだったから。 

窓を興味津々眺めるゴロに僕は
「ゴロ。これが世界だ。
この世は広いぞぉ!」 
と頭を撫でながら話した。
もうすぐ峠も終わる。 
が… 
如何せん運転しずらい。 
彼が膝の上で身を震わせているのは恐怖からか、まだ見ぬ世界に興奮してか。

途中コンビニで煮干しを急いで買ってきた。 
「ほぉらゴロ!煮干しだぞぉ。」 
と与えるとムシャムシャと彼は頬張った。 


車は一路我が家へ向かう。 
ここで一つ問題が残っていることを思い出した。 

家族には何も話していなかった。 
突然連れていったら怒るだろうなぁ。 
まぁ出たとこ勝負だ。 
情に訴えかけよう! 
と家に着いてからの作戦を思案しながら走っていると我が家が見えた。 

家族構成は 
父・母・祖父・妹に私。
一番の強敵である母を丸め込めば今回のミッションもほぼ成功と言えるだろう。 

ガラガラ。 
勝手口を開けてこっそり侵入する。 
これでは不法侵入の危ない人になってしまう。 

急いで、ゴロ専用トイレと水、餌台を廊下の隅にセットしてしまう。 


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