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tomoka〜Kana
【純愛 恋愛小説】

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tomoka〜Kana-2

「直樹くんに何か用事だったの?」
「え?あ、ううん。別に無いんだけどね。うちらも授業行こっか?」
あたしは頷くと、2人の間に流れたいつもとは少し違う空気に気づかないフリをして、次の授業がある教室へと向かう。4年生なので授業は出なくても卒業単位は足りているのだけど、学校に行かないのも寂しいからという理由で、週に3回ほど授業を入れていた。だからといって授業に真面目に出る必要もないんだけど。
今年で学生生活が終わるなんて実感がまるでなくて、本当にこれで終わり?と誰かに問いただしたくなってしまう。
外国人の教授の話をBGMにして、あたしは昨日の飲み会のことを思い出していた。


────────────────
「乾杯!!」
代表の声で始まった飲み会。昨日は総勢50人くらい来ていたんじゃないだろうか。始まったと同時にあちらこちらからコールが飛び交う。大勢の人と飲むのは、それはもう楽しい。開始1時間もしたころになると、みんな気の合う者同士で固まったりして。あたしと香は2人で席を移動しながら飲んでいた。
「実!」
どうやら今日の香のターゲットは実になったようだ。
あたしたちより2個年下の実は、最近サークル内に好きな人ができたらしいとウワサされていて、香と一緒に酔うとそのことを尋問するのが、あたしたちの間で流行っていた。

「好きな人って誰よー?」と香さま。
「い、言えませんよ。」飲んでいたビールを噴き出しそうになりながら答える実。
「じゃー年上?年下?」さらに突っ込むあたし。
「…年上です。もうダメです!これ以上はここでは言えません!!」
「実かわいーなぁ。お姉ちゃん応援するね。」
「いや、いいです。」
「なんでー?実、あたしのこといらないんだ〜。」
「そんなわけないじゃないですか!」
「じゃー応援する!」
「…かなさんにはして欲しくないです。」
「香ならいいの?」
なんかそれって悲しいかもしれない。
―どうして悲しいの?
どうして、ってそりゃねぇ。…あれ?どうしてだろ。
そんなことを考えていたらいつの間にか一次会は終わっていて、あたしも移動するために荷物をまとめて外に出た。


二次会の場所へと歩いて移動しているときに、ふと横を見ると少し離れた隣を実が歩いていた。 
「ねぇ」
「はい?」
隣に並んでみると、実の背が予想以上に高くて少し驚いた。1年前は新入生の男の子、って感じでかわいいだけだったのになぁ。今では立派に男の人になった実に、改めて時の流れを感じた。
「実の手って大きいね。」
「オレ、手だけはデカイっす。」
まじまじ見つめる。この手、あたしの2倍はあるんじゃないだろうか。手全体がでかいんだけどスラッと伸びた長い指。深爪なのか爪は短く切られていた。
「ふーん。手つないでみてもいい?」
「え、や、あの…はい。」
大きいんだけどあったかい実の手。この手好きだな。
「実、誰のこと好きなの?」
「……ひみつです。」
「ふーん。いいけどさ、別にヒミツでも。」
この手を独占できるのかと思うと、ちょっとだけ実の彼女になる子のことが羨ましかった。


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