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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜磯寒菊〜-5

「では、何かありましたら何でも申しつけてくださいませ」
そう言い残し音もなくその場を去った。
「それじゃあ始めっか」
テーブルにそれぞれの筆記用具、教科書を並べ勉強会を始める。誠は英語、礼は数学、化学、物理、香織は現文、古典、あやなは世界史、倫理と分担をして信太と理菜を教える。主にその二人を中心に進めるが他の者はわからない所を聞きながら復習をしていた。テスト初日は数学、物理、古典であるので礼と香織が講師をしていた。
「理系は基礎さえわかれば後は応用が利くから基礎を固めるぞ」
「私は古典のヤマを教えるからそこを暗記してね」
「「押忍っ!!」」
「獅堂は成績いいのか?」
「はい、それなりには」
「そっか、ならこっちはのんびりやるか」
こうして勉強会が始まった。
カリカリカリ…
「この問題はこの公式を使えば…」
「おぉなるほど」
「こことここ、あとはこの辺かな」
「ここはやらなくて大丈夫なのかな?」
シャープペンの音と向こうの声だけが部屋に響いている。始めてからそろそろ1時間。全く会話もないまま黙々と勉強をしているが…なんか落ち着かん。向かい合って勉強をしているから顔をあげれば相手いる。当たり前な事なんだが妙に緊張する。考えればいつも一緒にいたんだからどうって事はないんだがこういったのはまるで無かったな、獅堂はだいたい香織といたし。
「神那君…ここ、いいかな?」
「あ?あ、あぁいいぞどれだ?」
体を乗り出しノートを見る。
「これは…あぁひっかけだな。この方程式を使ってこうすればいいんだよ」
「あ、そっかありがとう神那く…ん…」
「どういたしま…し…て…」
顔をあげるとすぐそこに相手の顔があった。固まりお互いを見つめ合ってしまう。すぐに顔を逸らせばいい、そう思ったが体が言う事を聞かなかった。
(は、恥ずかしい…こんなに近くで…)
(い、いかん早くなんとかせねば…)
お互い顔を茹でタコの様に赤らめながらも身動きをしなかった。
ガチャッ…
「失礼しま〜す、お茶とお菓子をお持ちしました〜」
固まっているとメイド服に身を包んだ若い女性が現れた。
「ふむ…ちょうどいい休憩にするか」
「そうだね」
「やったぁ!」
「相変わらずのスパルタで疲れたぜ…ってどうしたそこの二人?」
「い、いやなんでもないぞ!?き、休憩しようぜ!!」
「そ、そうですね!休憩しましょう!」
明らかに様子がおかしい二人を疑いはしたが勉強からの開放に浮かれていたので気にしない事にした。
(ナイスタイミングだメイドさん!)
(た、助かったぁ…ありがとう紗枝さん)
二人は動揺を隠しながら心の中でメイド、紗枝に感謝をしていた。
「執事にメイドさんか…ここはなんでもありだな」
出されたお菓子を食べながら信太が呟く。
「そうだね、驚いちゃったよ」
「まぁそれは俺も驚いたが別にどうという事はないだろ?獅堂は獅堂なんだし。あ、すいません紅茶おかわりお願いします」
「はい、かしこまりました」
コポコポと湯気をたてながらカップに紅茶が注がれる。銘柄はカモミールといって飲むと落ち着くらしい。今の俺にはちょうどいい。…うん、うまい。紅茶もたまにはいいな。


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