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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.3-8

「んじゃ、俺は帰るか」
今井はそう呟き修二に背を向けた。

「あ、待って」

数メートル離れた辺りで後ろから呼び止められた。
振り返ると、修二が駆け寄って来る。
「洋平君は兄ちゃんと別れたの?」
「はい?」

突拍子も無い質問につい語尾が上がってしまった。
修二は本当に心配そうに小首を傾げている。
「いや、別れるも何も……付き合って無いし」
頭を掻きながら今井は否定するが、修二は全然納得してくれない様だ。
「えーーーっ!あんなに仲良いのに付き合って無いなんて嘘吐くなよ」
ぶうぶうと口を尖らせる修二に、今井ですら困ってしまう。

「いや、仲良くてもな…」

「えっちしてるのに?」

修二の無垢な唇から聞き捨てなら無い一言が飛び出し、今井はその場でフリーズしてしまう。
元々容量の少ない脳味噌なのに、言い訳を探し出そうとフルに回転させるが、脂汗しか流れていない様だ。

「え…あ、修二……お前」

「だって聞こえちゃうんだもん。……その、声、とか」

真っ赤になりながらそう呟いて、修二は携帯電話を握り締めた。
参ったな、と今井は思いつつ頭を掻いた。

「うーん、まあ、修二の言う事はまんざら外れじゃないけど、別に付き合っては無いんだよなぁ」

「え?」

顔をしかめながら曖昧に返事をすると、今井は元来た道へ戻ろうと再び背を向けた。
しかし、咄嗟に修二の右腕が今井の前進を急停止させた。

「……修二、俺はお前の兄ちゃんの恋人じゃねぇんだぞ」

黙って左腕を掴む修二に、今井は溜め息を吐きながら言葉をかけた。

「お前の兄ちゃんがいくらバイでも俺が止める理由はないし、ましてや盛ってる最中に修羅場を演じる義理もねぇ」

ゆっくりと後ろを振り返り、頭二つ程背の低い修二に向き直る。
俯きながら一文字に結んだ唇は同情を誘う。
今井は自分の心に活を入れわざと険しい顔を作って見せた。

「お前が家に居辛い気も分かるが、俺には…」

「家庭教師なんだ」

今井の言葉を遮る様に修二は言葉を発した。その声は、苦々しい物を掃き捨てる様な声だった。

「僕の家庭教師で……その、兄ちゃんは……」





修二の声が鼓膜に張り付いて途切れる事無くリフレインしている。

今井は太刀川の家の玄関で、握り締めた拳を震わせていた。


『兄ちゃんの初めての人、みたいで』


ゆっくりドアノブを回して静かに中に入る。
修二の言葉通り、ピンヒールの真っ赤なミュールが行儀良く並んでいた。


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