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人妻奈岐
【熟女/人妻 官能小説】

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亮の決断と奈岐の逡巡-1

「なぎちゃん、今日はまた格別だったよ、素敵だったよ、ありがとう」
「うん、わたしも、、、ありがとう」
これまでのようにピロートークが続いていった。しかし二人の距離感はあきらかにピタッと近づいていることをお互いが感じていた。相手への親密で素直で開け拡げた感覚が二人の間にあった。言葉が無くても気まずくなく、お互いを安心して見つめていられた。
奈岐はしばらくすると性の高揚が覚めて来て饒舌になり、身近にあることを取り留めもなく語り出した。それは仕事のことであり、旦那のことであり、家での生活のことであり、これまでに有った出来事であったりした。
亮には、自分のことを奈岐が信用しきって話していることがわかった。またそれが奈岐を亮の心の中に深く入り込ませることなり、心地よい空間と時間を作っていた。

しかし、二人のこのときの思いが素直にあらわれるほど、単純なことではない。リアルな浮気とチャットでの交接との間にはやはりハードルがあることを亮は思い知らされることになる。
この満たされたチャットでの亮と奈岐の交接のあと、亮は素直に奈岐にリアルに逢うことを請うた。
「なぎちゃん、今度外で逢わないか」
「えっ?」
「ほんとに逢おうよ。僕、とってもそうしたいんだ」
「ええ、、でも、、、」
奈岐は心ではもうその気になっていた。ただ自分の口でそれを受け入れるということを言ってしまっていいのか、迷いがあった。
「りょうさん、でもこのままがいいのじゃないかしら。りょうさんにとっても私にとっても。
ねっ、そうしましょ」
「でも、ぼくはなぎちゃんと外で一緒に過ごしたい。なぎちゃんもそうだと思うんだけど、違うのかなあ?」
「わたしもりょうさんのこと、好きヨ、、、、でも」
 その後も亮は重ねて奈岐へ気持ちを伝え続けたが、奈岐の言葉は変わらなかった。奈岐は話をしているうちに、このハードルを越えたら本当に啓介と離れることになることになると感じ出したのだった。だから亮の執拗なアプローチにも素直に応えることが出来なくなっていったのだ。
それは一度有った睦夫との浮気とは違うのだった。睦夫との情事は啓介と離れることまでにはならないことが奈岐の中では決めていたことだった。

奈岐にとっては亮への愛が強すぎた。だからこそハードルを越えることに逡巡し、拒絶した。心とは裏腹なのだった。
奈岐は帰宅して夫の啓介への夕飯の支度をしながら、あれでよかったのだろうか、本当は素直に亮を受け入れてリアルに愛し合う機会を持てばよかったのではないか、いやそれとも亮が恋しいという気持ちは本当ではないのだろうか、、、、頭の中は行ったり来たりを繰り返していた。
帰宅した啓介は、そんなことを思ってうつろな奈岐の様子を見てももうなんの引っ掛かりも心に感じないらしかった。奈岐はいつもはそんなことをしないのだが、支度をする手を止めて、啓介の背中から抱きしめて「お帰りなさい、ご飯、もう少しだから」と言ってしばらく抱きついていた。
「奈岐、さあ着替えさせてくれ、支度もしなくちゃならないだろ」
と啓介は先を急いだ。そのとき啓介に一瞬間だけ奈岐を抱こうという気持ちが湧いたが、啓介はその意味の重大さに気付かなかった。
 そのときが、啓介にとって奈岐が失われた瞬間だったのかもしれなかった。
 ただ奈岐には、しばらく抱きついていたことで啓介の背中の温かみが奈岐の子宮の奥に伝わってきていた。確かにその瞬間には啓介の体温が奈岐に気持ちの落ち着きを齎してくれていたのだった。

 奈岐はその後も逡巡を繰り返していた。月曜日の朝は否応なくやってくる、そして奈岐を仕事へと駆り立てていくのだった。それに紛れて亮のことを受け入れなかった後悔は深みにはまることから免れた。しかし、ふとした瞬間に思いだして夢想しているのは、リアルに逢って街中で楽しい時間を過ごした後、ホテルで亮のすべてを受け入れている奈岐自身の姿だった。
 帰宅して啓介を玄関で向かい入れるたびに、これで良かったんだと啓介の臭いを子宮で感じて迷いが昇華していくのがわかった。おそらくそういうことを思い迷いながらも時間が解決してくれるものだと奈岐は思った。
 そしていつものように夜むずむずとするとき、おもちゃを偲ばせてクリトリスにあて、啓介ではなく亮が愛撫してくれるのを想像しながらオナニーを続けた。亮の愛撫は気持ち良かった。逝く時の快感が週末のチャットを想い出させて強く性器から脳天へと雷鳴して至高の恍惚を奈岐に齎した。それは、迷いとは別に亮の愛が奈岐の奥深くへ浸透し続けたということだった。いつかこのままの状態が続くのか、あるいは破綻することになるのか、オナニーをして果てた後隣で寝息をたてている啓介の手を握りに行く奈岐にもわからなかった。


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