母体の神秘15-2
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目安の時間が過ぎた・・
端末の画面に映し出された妊娠検査薬の結果を見て
俺は言葉を失い
息をするのも忘れて
しばらく無言になった状態で硬直していた。
(・・・・陽・・・性・・・・・)
何度目を瞑り
祈ってから目を開けて画面を見つめ直しても
それは突き付けられた現実を再度確認する作業にしかならなかった。
画面の中の妊娠検査薬には
妊娠反応陽性を示す線が、はっきりと表れていたのだった。
(・・・・・・っ!)
心のどこかで薄々分かっていたとはいえ
敢えて気付かないふりをしていた事柄を
無理やり直視させられた俺は、思考が整理できず混乱していたが
映像中の竹太郎さんの声で正気を取り戻した。
「妊娠検査薬の結果はぁ・・・見ての通りだ。
我らの智美ママは、ついに「妊娠」したんだよ!!
お前たちはお兄ちゃんになったんだ!良かったなぁぁぁ!」
(妊娠・・・)
竹太郎さんの歓喜の色が混じった「妊娠」という言葉を聞いて
俺は今までの性教育内容が、まるで何か走馬灯のように
頭の中を走り過ぎていくのを感じたのだ。
竹太郎さんの生命力みなぎる長大な灰色お〇んちんが
俺のママ智美の危険日ま〇こに挿入され
ママに大量の汗と切ない喘ぎ声を搾り出させ
二人の遺伝子の合体を阻む為の避妊具が無い状態で
ママの奥深くで竹太郎さんの精子の大群が放たれたのだ。
自分の生理周期がズレてしまった事実を認識できずにいたママは
実は危険日真っ只中だったあの日に
不義の相手である竹太郎さんの子孫繁栄汁を
ママの大切な子作り部屋に無防備に受け入れてしまったのだ。
竹太郎さんの元気で優秀な精子達はママの子宮内を縦横無尽に駆け巡り
時に競争したり、時に協力し合いながら
奥に鎮座するママが造った丈夫な卵子を見つけ、隙間なく取り囲み
その中で一番優秀な一匹がママの卵の中に首を突っ込んだのだった。
そして何日もの時間をかけて細胞分裂を行ないながら
ママの子宮内膜への旅を始めていたのだ。
子宮内膜の良さそうな位置に辿り着いた竹太郎さんとママの受精卵は
そこに根を下ろし、着床に成功したのだった。
その瞬間、竹太郎さんと俺のママ智美は
もはや他人ではなくなってしまったのだ。
そして竹太郎さんに上手く誤魔化されたママは
自分の胎内に宿った新しい命の存在にも気付かずに
もう二ヶ月も、彼氏の赤子をお腹の中で育んでいたのだった。
強制的にその現実を
ママ本人よりも先に突き付けられた息子の俺は
最初こそ思考が纏まらない混乱状態のままだったものの
段々と気持ちが落ち着いてきたのと同時に
俺の中で次第にどす黒く湧き上がる、今までよりもいっそう激しく胸の中で渦巻いている
息苦しい程の背徳感に、もはや悦びすら感じてしまうのだった。
竹太郎さんはとうとう・・・
俺のママ智美に自分の赤ちゃんを妊娠させることに成功した。