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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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終わり=始まり-1

さぁ、あと数時間もすれば、今年もまた終わって新しい年がやって来る。
どうなるかは、来てみないとわからないけど、楽しみではある。


『終わり=始まり』

現在、12月31日、午後11時25分。
今年は去年の反省を生かして、白雪の部屋でコタツに入ってマッタリと年越しをする事になった。
本当にこの近辺の人はこぞって舞姫神社に殺到する。来年は明けて早々に修羅場を迎える俺としては、いきなり体力気力を使いたくはないのだ。
そんな俺を後目に白雪は見事、第一志望だった『聖ウルスラ女子大・心理学部』に見事推薦で合格した。 どういう訳か…内申点がさほど悪くなかったらしい。
色々したのに、とは白雪の談だ。敢えて内容には言及しないでおこう。
『続いて白組は……』
現在、テレビには紅白が映し出されている。二人とも、特に見たい訳ではなかったが、他に見るものもないのでこうなった。白雪曰く、『ゆく年くる年は毎年見てる』らしいが、馴染みが一切ない俺にはどういう番組だったか全くわからん。某お笑い芸人の年越しイベントの方が馴染みが深いな。
と言っても、まだまだそんな時間ではないので、のんべんだらりとしている現状だ。
「む…くっ……この」
ぼぅ…と、している俺の向かい側で、白雪が何かと格闘している。
「……なにしてんだ?」
「いや、なかなか……くぬ……剥けなくて……な」
みかんの白い筋を必死に剥きまくってる白雪がいる。
「そんなに真剣にならんでも」
「いや、アタシはどうもこの白い筋があると何の気兼ねもなくみかんを食べられないんだ」
良くいるよね。そういう人。
「その白い筋に、一番栄養があるんだぞ」
確か、そうだったはず。……自信ないけど。
「それにもったいない」
しかし、もったいなくはある。
「みかんにまで、栄養を求めるなよ。さっきアタシのバランスやカロリー計算が完璧になされた料理食べたろ」
うむ、確かにあれは美味かった。白雪の料理の腕は日毎に進化していく。白雪に唯一勝っていると自負していた料理の腕も、もはや負けている。
でも、最近そういうのが気にならなくなった。白雪より優れてなくても良いから、俺は自分なりに白雪と一緒にいて、白雪を支えられたら良いと思うから。
白雪より優れた部分で支えるんじゃなくて、俺の良い所で白雪を支えるんだ。
そう考えたら、不安は減った。
無くなったと言ったら、もちろん嘘にはなる。だけど、その不安よりも確かな実感がある。
白雪に愛されてると言う実感が。
いやぁ、幸せです。俺。
「く……この…………あーーーーっ!!」
白雪がみかんを放り出した。
イライラが溜まってしまったらしい。どうにも俺の愛しい人は短気な性分らしい。…ま、わかりきった事だけども。
「こら、みかんを粗末にするな」
「だって剥いても剥いても、全部剥けないんだもん。あーー、白い筋がなかったら良いのに」
無茶言うな。
「仕方あるまい。ほれ、貸してみせぃ。拙者が剥いてしんぜよう」
「ありがたい。お頼み申す!」
妙に時代がかった台詞で会話しながら、白雪からみかんを受け取る。
こんなもん、爪を立てて…ぴーーっとだな。
「おぉ〜」
白雪よりも五倍は早く剥いてやった。欠点は爪の間に筋が残ってしまうことだが…。
「ありがとう。憲」
白雪から感謝されて、笑顔のおまけが付いてくるならお安いご用だ。


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