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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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終わり=始まり-2

「………今年も、もう終わりだな」
白い筋のないみかんを口に運びながら、白雪がそう呟いた。
「そうだな……」
「なんで、終わりって……あるんだろうな」
終わりか……確かに。
「終わりがないものって、あるのかな?」
「……無いと思うぞ。白雪、前に言ってたじゃないか。『永遠なんてあるわけない』って。それと同じさ」
「そんな事、アタシ言ったか?」
忘れてんのかよ。
「言ってたろ。半年位前」
「そんなの覚えてない」
俺は覚えてるのに。結婚の話をした時なんだぞ。忘れるはずがねぇ。
「ふぅ。まぁ、終わりなんて、何にでもあるだろ」
「例えば?」
「……テレビ番組とか」
テレビを指さすとちょうどテレビから『蛍の光』の合唱が流れている。
「他には」
テレビから目を離して、白雪が向き直る。
他にはって……言い出したらキリねぇぞ。
「1日とか、1年とか」
「一曲とか、一回とか?」
「まぁ、そうだな」
「言い出したらキリないな」
だから、そうだって!
「まぁ、何にでも終わりはあるだろ。俺たちの命だって、いつかは終わる。何もかもが終わりに向かって進んでるんだよ。まぁ、例外は時間の流れ…ぐらいじゃないか?」
時間の流れには終わりって概念が当てはまらない気がする。
「そうだな。アタシもいつか死ぬ。憲もいつか………」
そう言った途端、白雪が俯いた。
「……白雪?」
顔を上げた白雪の右目に涙が滲んでいた。
「ごめん。想像したら、泣けてきた」
おいおい。そこまで想像するか。
呆れる。けど、そこまで想われてるんだな、俺は。
「大丈夫か?」
更に涙が止まらなくなった白雪は首を横に振って返答する。やれやれ。
「……失礼」
コタツを出て、白雪の隣に入り直す。そのまま、静かに泣く白雪の肩を抱き寄せた。
「まだ俺は死んでないぞ。だから泣き止め」
「うん」
俺の肩に顔をうずめて、静かになく白雪。なんで、いつも白雪は俺の事に関してだけは暴走気味なんだろう。愛してくれてるんだな。 俺は、その想いに応えていかなくちゃいけない。
『応えられるだろうか』なんて考えてなんかいないで、応える努力をしなくちゃならないんだ。
まずは、慰めないとな。
「でもな、白雪。終わりがあるって事は、始まりもあるって事じゃないか?」
「……?」
「今日が終わったら、明日が始まる。今年が終わったら、来年が始まる……そう考えたら、終わりも悪くないだろ?」
終わりってのは、始まりの裏、そう思う。
終わりがあるから始まりがあるのか、始まりがあるから終わりがあるのか、なんて事は考えないでおく。そんなもん、『鶏が先か卵が先か論』ぐらいにどうでもいい。
ただ、始まりと終わりが表裏一体なのは、確かなはずだ。
「………」
「『終わり』が来なきゃ、『始まり』も来ない。だったら、俺達は先に、未来に進めない」
「アタシ達が未来に進む為には、『終わり』は必要なんだな」
そう。ただ、良いことにも悪いことにも『終わり』が来ちゃう所が難点ではあるが、その事象の前には万物全てが無力だ。
「それに、『終わり』が出来るだけ、遅く来るように努力も出来るじゃないか」
「例えば?」
「長生きしたいなら……」
「健康に気を使う」
「俺達の関係を長続きさせたいなら……」
「………こうだ」
白雪が言葉の代わりに俺の口を塞ぐ。おぉ、期待通り!


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