終わり=始まり-3
「アタシ達の関係も……いつか終わるんだな」
悲観した口調ではない。何というか、ちょっと落胆した程度の口調だ。納得しているかんじ。
「俺はその終わりが人生の終わりでもありたいね」
「あ、アタシだってそうだ!と言うか、それはアタシだけだ。憲にはアタシよりも長生きしてもらうからな!」
指を指し、声を荒げて白雪は言う。
「おいおい」
ま、その辺りの話は何十年後か先にしましょうかね。
とりあえず、今は気を取り直そう。
「あと1分」
テレビ画面の上の方には、11時59分の表示が出ている。
「憲!」
「…?」
「んー」
おいおい。まさかそれしながら年を越すつもりですか?
………まぁ、いっか。早くしないと年が明ける。
「ん……」
塞いだ白雪の唇から、息が漏れる。
目を閉じてるこの間。テレビの音も除夜の鐘も、耳には入ったけど。そんな事は一瞬で意識の外に出て、白雪だけを感じた。
多分、白雪も俺だけを感じてくれてるはずだ。
そっと唇を離して、目を開けると、白雪もほぼ同時に目を開けていた。
自然と笑みが零れる。白雪もやっぱり微笑んでくれている。
今年、最初に見たのが白雪の笑顔。
今、俺は幸せだ。世界一かはわからないけど。上位には絶対ランクインしてる。
それぐらい幸せだ。
さて、いつまでも幸せ噛みしめてないで、新年の挨拶をしないとな。
「あけましておめでとう、白雪」
「あけましておめでとう、憲」
「今年もよろしく」
「……今年も、来年も再来年も、死ぬまでよろしくな、憲」
「あ、あぁ。こちらこそ……」
あぁ、どうやら。今年も白雪には勝てそうにないや。わかりきってるけど。
「ずっと……一緒にいような、白雪」
「もちろん!!!」
そう言って、白雪は年が変わっても相変わらずの素晴らしい笑顔を、俺に向けてくれた。
END
おまけ
「あけましておめでとーー!!」
「白雪、おめでとう」
……出るの遅いって、独。
「勝手に上がるな。愛里は良いけど」
白雪、その通りだ。八木は良いけど。
「いや、俺が上げたから大丈夫」
「そうそう、孝之のお墨付きだから。あら、それともお邪魔だったかしら?」
うわぁ、すっげー意地悪い顔してるよ、白木さんてば。
「もちろん!」
「ふぅん、おば様の前でもそう言える?」
「「!?」」
意地悪い顔の白木さんの後ろに悲しそうにしているお母さんを発見。
「白雪さん、私は悲しいです」
「いや、その母さんが邪魔なんじゃなくて……」
白雪がアタフタしてる。やっぱり最強はお母さんで決まりだな。
まぁ、いろいろあったし、いろんな人と知り合った。
それも、白雪のおかげかな。
みんなと出会えて良かった。
そして、白雪と出会えて良かった。
「こらぁ、微笑んでないで憲からもなんか母さんに言って!」
『=シリーズ』
死がみんなを分かつまでNeverEnd