金木犀の誘惑-11
「ジュルッ、ズビュッ」
「ズビュッ、ジュルッ」
反対側で、怒張した大樹の肉茎を眼下に捉えた恵子は、むしゃぶりつくように口咽に含み、睾丸の周囲から、竿周辺を舐め尽くし、口角の隙間から涎を滴らせながらも、
練っとりとした上下運動が繰り返されていた…。
「ハァ、ハァ、ハァッ!」
「ングッ!ジュルッ…」
「いっ、入れてっ!」
「もう駄目…あぁ〜っ!」
大樹は恵子の体制を、
前のめりに屈伏させ、
適度に張ったふくよかな腰を突き出させると、スルリと下半身を抜け出し、その腰を両手で鷲掴みにするや、見事に反り起った肉茎を、露わにされた蜜壺の奥へゆっくりと挿入し、深く浅くの一定のリズムを刻み、徐々に加速度を増して行くと、その膣奥で蠢くような痺れを感じ、恵子の絶頂が近い事を確かめると、一気に背面騎乗位へ移行し、恵子自ら腰を振り廻す動きに委ねていた…。
「あっあっあっ…いっ」
「い、逝っちゃうぅ〜」
「あんっあぁああぁ〜」
恵子は、その膣圧で挿し入れた肉茎を締め上げると、歓喜の声を部屋一面に木霊させ、二人同時に逝き果てていた…。
[温もり]
トルルッ… トルルッ
内線電話に揺り起これ、慌てて受話器を挙げるとフロンロビーからだった
[お早う御座います、フロントですが、大塚様からの言伝で、午前10時にはモーニングコールを入れて欲しいと承っておりました、尚、当館ご利用のチェックアウトは午前11時となっておりますので]
[判った、有難う…]
軽い二日酔いなのか、重い瞼を凝らして受話器を置くと、そこに恵子の姿は無く、テーブルの上には、走り書きのメモが添えられていた。
昨夜はとても素敵でした。二日酔いと思いますので、今日は早めに休んで日曜日はゆっくりと静養して下さいね?代金は清算してあります… 恵子
気だるい土曜日の朝を迎え、熱いシャワーを全身に浴びせていると、己の肉茎が覚えた痺れの感覚が蘇り、恥ずかしい痛みを伴いながら、乱れた恵子の姿まで脳裏に霞んで見えていた…。
シャワーの熱で、体の隅々から放出される汗を拭っていると、血流が全身を巡り、徐々に目覚めて行く感覚を覚えると、そそくさと着替えを終え、ホテルの前で停車しているタクシーに乗り込み、家路へと急ぐ事にした。
土曜日の都心は嘘のように静けさが漂い、街の喧騒も、行き交う車の流れも、平日とは打って変わり、ゆったりとした時が流れていた…。
[運転手さん!悪いけど、銀座で降ろして貰っていいかな?]
俄かな空腹感に襲われ、朝から何も食していない事に気付くと、
馴染みの寿司割烹がある銀座六丁目界隈へ向かわせ、潜り暖簾を捲り、聞き慣れた威勢の良い声を浴びながら、どっしりと品格のあるカウンターに座ると、上がり酒で生ビールを呑み、熟練の手で握られた寿司はこの上無く格別で、大樹の気分を否応なく軽やかにさせていた…。